冷却水のクーラント交換は基本的には簡単な作業!
冷却水に使用されているLLC(ロング・ライフ・クーラント)は、年間を通して利用できる不凍液の一種で、凍結防止効果と共に防錆効果も発揮する。しかし、これらの効力が持続するのも「2年間」が限度。主成分のエチレングリコールの酸化が徐々に進行し、腐食性物質が生成されたり、水アカの発生などの要因も加わって劣化してくるからだ。このため、冷却水は2年ごとに交換する必要がある。なお、環境ガイドラインに基づき、近年のクルマにはさらに長期間使用できるLLCが純正採用されつつある。例えば、トヨタの平成14年5月1日以降の生産車には、8万Kmまたは4年(新車充填時には16万kmまたは7年)と長寿命な「スーパーLLC」が採用されている。この手のLLCが注入されていた場合、当然2年ごとに交換する必要はない(従来品の交換サイクルより長いだけにさらに注意が必要となるが・・・)。取り扱い説明書に記載されているはずなので確認を!
さて、この冷却水の交換作業は基本的には簡単だ。しかし、完全に排出させるためにはシリンダーブロックの側面に設けられたドレンボルトも外す必要がある。ラジエターからは総容量の半分くらいしか抜けず、エンジンのウォータージャケット内に溜まっている冷却水は排出しきれないからだ。
ところが、ほとんどのクルマは補器類が邪魔でドレンボルトに手が届かないばかりか目視すらできないため、エンジン回りを分解せずに完全に排出させるのは至難のワザ。その対応策(下記交換手順)もあるが、とにかく手間がかかる。
さらに、交換後は冷却経路内に残ったエアを完全に排出させる必要がある。多少でもエアが残っているとオーバーヒートの原因となるからだ。が、このエアが抜きにくい車種が最近、増えているのだ。
また、LLCは「産業廃棄物」に該当。主成分であるエチレングリコールが環境負荷物質に指定されていて、回収の対象となっているため、無闇に破棄することはできない。このため、交換後の後処理にも難儀することに・・・。参考のために手作業による交換手順(整備業者は短時間で効率よく交換できる専用の「LLC交換器」を導入する傾向にある。それとは異なる昔ながらの方法)もまとめておくが、LLC交換は廃液適性処理を実施している整備工場に依頼するのが無難であり、おすすめだ。
手作業によるクーラント交換方法・手順
1.まず、ドレンプラグの位置を確認!冷却水を排出することができるドレンプラグは、ラジエターの下部にセットされているタンクの左/右どちらかの側面(エンジンルーム側)に取り付けられている。
2.ドレンプラグを緩めて冷却水を排出させる
ドレンプラグを外れない程度に目一杯緩める。ただし、これだではチョロチョロとしか流れ出ない。ラジエターキャップを外して内圧を抜いてやると、冷却水が勢いよく流れれ出す。あとは、完全に排出されるまで待機する。
3.水を注入する
ドレンプラグを絞め込み、ラジエターの注入口の口元までいっぱいに水を注入する。
.4.エンジンを始動して循環させる
エンジンを始動し、水を循環させることで冷却経路内のすすぎを行う。なお、冷却水はヒーターコア内にも流れているため、すすぎを行うときは必ずヒーターを作動させて循環させる。
5.冷却経路内のすすぎを行う
すすぎは水温が上がってサーモスタットが開くまで行う。アッパホースが熱くなったらほぼ、電動ファンが回りだしたら完璧で、そこまでアイドリングさせたら排出。これ(水の注入→アイドリング→排出)を抜けてくる水が透明になるまで数回繰り返す。
6.LLCを注入する
排出されてくる水が透明になるまで、すすぎ洗いを繰り返してエンジン内部に残った冷却水を水に置き換えたなら、冷却水の総量に対する適正な比率(総容量が5Lで40%の濃度にするとしたなら2L)となるだけのLLC原液を注入後、口元まで水を補充する。この際、エア抜きプラグが設けられている車種(構造的にエアが抜けにくい部分に設置されている)はそれを外し、冷却水が漏れ出てきたところで再び締めてやる。ちなみに、冷却水は水で薄める濃度に応じて凍結防止温度が変化し、通常30%~60%の間で使用する。首都圏では一般に30%~40%だ。
7.エンジンを始動しエア抜きする
ラジエターキャップを外したままエンジンを始動し、エアが抜け切るまで(ブクッ、ブクッと泡立たたなくなるまで)アイドリングさせる。これが不十分だとオーバーヒートすることがあるので注意!エア抜きが完了したら減った分を補充。ラジエターキャップを締めて終了だ。
8.リザーバータンクを洗浄する
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