文章 : 高山則政(All About Japan「カーメンテナンス」旧ガイド)
ブレーキ液のコンディションをチェック
前回は、主にブレーキパッドのチェック方法について触れましたが、今回はブレーキの作動に書かせないブレーキフルードのチェックについてです。
まず、ブレーキフルードの役目からです。よく、ブレーキオイルという言い方をされることもあり、指しているものは同じなのですけど、細かいこというと「フルード」になるようです。漢字にすれば「液」であって「油」ではないということになります。
ま、それはともかく、ブレーキペダルを踏むとその部分からロッド(棒)が押され、マスターシリンダーという注射器のようなところで、フルードに圧力が掛かります。この圧力が、パスカルさんの発見した原理によって、各ブレーキに均等に伝わります。各車輪に付いているブレーキのピストンが、押し出されて、ブレーキパッドやドラムブレーキのライニングを動かしてブレーキが効く。およその内容はこんなところです。
この基本はどのクルマでも同じ(トラックのエアブレーキは除く)ですが、ブレーキペダルを押す力はマスターバックという倍力装置によって大きくなり、リヤブレーキの圧力はある程度以上になると、上がりすぎないよう適度にコントロールされます。安全性確保のため、油圧回路(厳密にいうと液圧なのかな?)は2系統に分かれていて、FR(後輪駆動車)では前後に、FF(前輪駆動車)ではクロスに配置されています。今では、車輪のロックを防止するABSも常識のメカニズムだし、これの応用でスピンを防止するための独立制御が付いたクルマなんてのも出てきました。また、市販車ではサイドブレーキは独立した機械式を使用することになっていて、ハンドレバーや足踏みペダルをつかったワイヤー式というのが主流です。
さてさて、ブレーキフルードの役目が少し分かった(分かってもらえたのかな?)ところで、実際のチェックにいってみましょう。乗用車タイプの場合は、エンジンルーム内にブレーキ系の油圧発生部があります。ほとんどは運転席の裏側(前側)に黒い円筒系のパーツ(マスターバック)に付いているマスターシリンダーとフルードを溜めるリザーバータンクを発見できます。このリザーバータンクには、MAXとMINというラインがあるので、このあいだにフルードがあるかチェックします。はじめはMAXにあっても、ブレーキパッドの減りによって、ブレーキ側に全体量が移動するようになるので、少し減っているからといってイチイチ継ぎ足す必要はありません。でも、周辺に湿っている部分がないかは見ておきましょう。目に見えて、量が減るのはどこかから漏れている可能性があります。もちろん、MINラインを切るのは厳禁です。この場合は、サイドブレーキを戻してもブレーキの警告灯が点くようになります。