カーメンテナンス/車の点検ポイント

ブレーキフルードのチェック法(2ページ目)

常にやらないといけないわけではないのですが、安全上重要パーツのブレーキのチェック法です。いざというときのためにも、確認しておきましょう。

執筆者:高山 則政

フルード交換

ブレーキフルードは定期的な交換が必要です。通常は車検ごとで良いと思いますが、ハードに走る人は1年、または気になったら交換します。
何で交換しなければならないかを簡単に並べて見ます。まず、フルードには吸湿性があり、使っているうちに空気中の水分を吸収していきます。ブレーキ部分は数百度にさらされるので、フルードには高い沸点が必要なのですが、沸点100度の水が混入すると急激に沸点が低下してしまいます。そうすると、ハードなブレーキではベーパーロックという、油圧回路内に泡が混じる減少が発生しブレーキペダルがフカフカになってしまいます。いわゆる「エアを噛んだ」状態です。水分が混じるといっても、水滴で入るのではなくフルード中に分散するようになります。フルードの規格では水分を約4%含んだウエット沸点もパスしなくてはならないのです。整備工場向けには、この沸点を測るテスターもあるんです(結構高価)が、あまりメジャーとは思えません。というのも、時期を決めて交換してしまった方が安心・確実だからです。

水分が混じると、性能低下はもとよりブレーキキャリパーのピストンをサビさせるなどの腐食を進行させるので、適度なスパンで交換しなくてはなりません。
それに、ズーッと同じフルードを使い続けると、やはり汚れが目立ってきます。走り屋を自称する人でも、エンジンルームを覗くとブレーキフルードが真っ黒だったりして、ビックリする事もあります。もともと透明なフルードですが、見た目の交換基準は黒褐色やウーロン茶色といわれています。

エンジンオイルのように、外部から不純物が入るということはないのですが、ピストンとシリンダーのわずかな摩耗粉やフルードカスのようなものが溜まってきます。同じブレーキフルードを使うマニュアル車のクラッチフルードなどは、10年くらいそのままにしておくとヘドロ状のものがいっぱい溜まって、中の量が分からないくらいになっています。ブレーキでそこまではしませんが、汚れはブレーキ側のピストンの動きが渋くなったり、劣化を進行させる元になってしまいます。

フルード選び
 ブレーキフルードには規格があって、DOTという規格が広く使われています。主に沸点の高さでグレード分けされていて、カーショップで簡単に購入できるものを上げると、一般仕様のDOT-3、やや高性能なタイプでDOT-4、さらにDOT-5.1というのもあります。これらは、フルードが新品時のドライ沸点と湿気を含んだウエット沸点の両方をパスしたものなので、普通に使用することができます。ブレーキのタンク部分などにも、指定フルードのグレードが書いてあるので、それと同等かそれ以上のものを使います。ただし、DOT-5.1などはオーバークオリティーかなと思います。というより、DOT-5規格は寒冷地での流動性に優れているのも大きな特徴の1つなので、沸点的には、SUPER-DOT-4というものが肉薄しているんですよね。ま、ここまで来るとメンテナンス外の話ですね。

それと、常識的なことですけど、ブレーキフルードは塗装面を痛めるので、ボディなどにこぼしたら、すぐ拭き取って水拭きするか、洗剤で洗い流しておきましょう。皮肉にも、ペイントが剥げたおかげでフルード漏れを発見できたという例も多いのです。
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