2005年5月25日、クリスチャン ディオールのファインジュエリーのショー『Défilé Dior Joaillerie dans le Grand Salon』が銀座店5階にて開かれました。その趣向があまりにも面白かったので、ここにご紹介しましょう。
この日サロンに駆けつけたプレス陣は、まず冷たいシャンパンをふるまわれ、ふだんはめったに見られない1点ものの新作ハイジュエリー『Coffret de Victoire(ヴィクトワールの宝石箱)』が飾ってあるのをゆっくりたんのうします。
ブラックオパールの花、カーヴィングした珊瑚、ヴィクトワールが集めた珍しいカラーストーン……。ショーケースのなかは、まさにくつがえされた宝石箱。でも、デザイナーのヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌが来日していると聞いたのに、姿が見えません。
まもなくまっくらな隣室に案内された一同。席に着いても、何が起きるのかまったくわからない状態です。音楽がはじまり、パッと照明がともると、目の前にはパリのグランドサロンを再現したミニチュアが。へええ、よくできてる……と思うまもなく、ジュエリーがひとつずつベルトコンベア式の動くランウェイに乗せられて、ミニチュアのなかを左から右にすべっていったのでした!
▲ただ今、珊瑚のバラのリング「グウェンドリン」たちが
オン・パレード。BGMはシャンソン。
▲リアルなミニチュア。椅子の上にはショーのプログラムも。
左から「トゥールビヨン」ブローチ、「オートヌ」ブローチ、
「グルマンド」ムーンストーンリング、カルセドニーリング。
観客にはあらかじめオペラグラスが渡されています。舞台の左袖からジュエリーが登場すると、その動きにあわせてちゃんとスポットライトもあたります。右袖からときどき人間の手が見えているのはご愛敬。
そんなこんなで総計117点ものジュエリーが目の前をすべっていった、今回のショー。最後のジュエリーが右袖に消えたあと、拍手喝采(の効果音)とともに、つつつ……とランウェイをすべっていったのは、ヴィクトワールの小さな写真。思わずみんな笑ってしまい、さかんに拍手を送ったのでした。そしてショーが終わったあと隣室へ移ると、そこにはヴィクトワール本人が!
ジュエリーのショーはいろいろ見てきましたが、こんなふうに遊び心のきいたお洒落な演出はほんとうに初めて。裏方スタッフの苦労は相当なもののようでしたが、夢いっぱいのこのアイデアに、とにかく乾杯!
デザイナー、 ヴィクトワール・ ドゥ・カステラーヌ。 かつてシャネルの ハイジュエリーを 手がけていたことも あります。 |