お金の教科書~はじめて編~/金融商品で貯める、増やす

投資信託

投資信託は、公社債で運用する安全性の高い公社債投信と、債券や株式などで運用する元本割れのリスクはあるがリターンが期待できる株式投信があります。プロが分散投資をしてリスクの軽減を図っており、長期間の資産運用には利用を考えたい商品の1つです。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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2‐3 グローバルな投資を1万円から

国内外の債券や株式、不動産投資信託など幅広い資産に分散投資してリスクを軽減し収益を上げたい、と誰もが考えます。しかし、それを個人で実行するには、多額の資金と知識と時間と判断力が必要で、とても無理な話です。そんな希望を1万円程度からかなえる金融商品が株式投信です。安全性を求めるなら、公社債だけで運用する公社債投信があります。どのような商品でどこでいくらから買えるのか、購入から売却までにかかる費用と税金は、リスクは、など購入する前に知っておくべき知識がたくさんあります。

今回のレッスンで知っておきたいポイント

Point1少額の資金をまとめてプロが運用する商品

投資信託とは、多くの投資家から集めた資金をひとつにまとめて大きな資金にして、運用の専門家が株式や債券など複数の資産に分散投資をし、その結果得られた収益を分配金として投資家に還元する仕組みの金融商品です。証券会社や銀行、保険会社などの販売会社が募集・販売し、投資信託委託会社が運用の指図を信託銀行などの受託会社に出します。受託会社は指図に従って証券市場で株式や債券の売買を行うとともに、信託された財産を保管・管理します。信託財産は分別管理されるので、販売会社、投資信託委託会社、受託会社いづれかが仮に倒産しても、信託財産は保護されます。投資信託の特徴は、一般投資家が少額の資金から参加できる、専門家が運用する、分散投資によりリスク軽減が図られている、です。値動きのある証券に投資し運用するので元本が保証されるわけではないので、注意しましょう。

Point2買う・保有する・売る、に必要な3つの費用

投資信託を購入した投資家が負担する費用は3つ、購入時に販売手数料、保有期間中は信託報酬、中途換金時に信託財産留保額、です。費用は投資信託ごとに異なり、それぞれパンフレットや目論見書に記載されています。販売手数料は1~3%が多いのですが、最近では無料のノーロードファンドも増えています。信託報酬は、投資信託の運用・管理に対するランニングコストで、投資信託ごとに決まっている年率に従って、自動的に毎日信託財産から引かれ、運用会社、投資信託委託会社、受託会社の3社で分けられます。信託財産留保額は、信託財産の売買手数料を公平に負担することを目的に中途解約時に差し引かれる解約ペナルティーで、一部の投資信託で実施されています。3つの費用は収益に直結しますので、購入する前にきちんと把握することが重要です。

Point3リスク度は運用対象でかわる

投資信託は、株式を一切組み入れない安全性の高い「公社債投資信託」と、株式の組み入れが可能な「株式投資信託」に大別し、それぞれ購入時期によって、募集期間だけ購入できる単位型といつでも購入・換金できる追加型に分類できます。

株式投資信託は、運用対象により、1.地域(日本、海外、内外)、2.資産(債券、株式、不動産投資信託、その他の資産、複合資産)、3.方針(運用の基準となるベンチマークに連動した運用成果を目指すインデックス運用、ベンチマークを上回る収益を目指すアクティブ運用)、に分類できます。一般的にリスク度は、国内<海外、債券<不動産投資信託<株式<その他の資産、インデックス<アクティブ、と高くなります。なお、ベンチマークに使われる指数には、日経平均株価指数やTOPIX(東証株価指数)などがあります。

Point4どこで・いくらから買う?

投資信託は、証券会社や銀行、信用金庫、郵便局、保険会社、農協などで購入することができます。また、投資信託を運用している一部の運用会社から直接購入することもできます。これを「直販」と言います。同じ投資信託でも、販売会社によって販売手数料率が異なることがあるので、投資信託協会のホームページの「販売手数料・取扱販売会社を調べる」で確認しましょう。購入単位は、口数単位、金額単位、最低購入単位など投資信託によって異なりますが、1万円程度から購入することができるものもあります。なお、株価指数連動型上場投信(ETF)は、株式市場で、時価で売買できる投資信託です。売買ルールや税金は株式に準じます。

Point5「特定口座 源泉徴収あり」で申告不要

税金の扱いは、公社債投信と株式投信で異なります。公社債投信の利益分配金、解約益、償還差益は、利子所得として20%が源泉徴収されます。ただしMRF、MMF、長期公社債投資信託などの収益分配金は、身体障害者手帳を持っている人、遺族(基礎)年金や寡婦年金を受給している人などが「少額貯蓄非課税制度(マル優)」の手続きを行えば、元本350万円までは課税されません。

株式投信の収益分配金は、配当所得として10%(平成24年1月1日以降20%)が源泉徴収されます。換金時の譲渡益は、譲渡所得として10%(平成24年1月1日以降20%)の申告分離課税で、他の株式投信や上場株式の譲渡損益と損益通算ができます。「特定口座 源泉徴収あり」を選ぶと申告は不要です。ただし、確定申告をすれば、申告分離課税を選択した上場株式の配当金や株式投信の収益分配金との損益通算や、損益通算しても譲渡損が残る場合翌年以降3年間損失の繰越控除を受けることができます。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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