自然分娩がゴールではない

どんなお産でも、ベストをつくして、その後も続く子育てにつなげましょう
帝王切開を受けたことによってメンタル面で傷ついてしまったという人について話を戻します。私はそのとき最善を尽くしたのであれば、いいお産も悪いお産もないと思っています。忘れてはいけないのは、「自然分娩がゴールではない」ということです。予期せず帝王切開となって、それまでがんばってきた人ほど挫折感を持ってしまうかもしれません。でも自然なお産のためにがんばってきたことは無駄ではないのです。

中には予定帝王切開が決まったとたん、マタニティヨガに通うのをやめてしまったという人もいますが、それこそ不自然な選択だと思いませんか? 適度な運動で体を柔らかくしてお産に臨むことは、たとえ帝王切開であっても大切なことです。運動不足で下腹部に脂肪が付きすぎていると、その脂肪をかき分けて切開しなくてはなりません。それは手術する上でもデメリットです。

生理的に順調に進むように最善を尽くし、そして医療が必要な場合は助けを借りる。そうしたプロセスを歩んでいれば、帝王切開でも幸せなお産はいっぱいあります。

そのためには、まず産院の丁寧な説明とケアが必要だとは思います。現在お産がどのような状態なのか、どういう理由で帝王切開が必要なのか、産後のリスクにはどのようなものがあるのかといったことの説明もなしに、有無を言わさず医療介入となってしまったケースに心の傷が残ってしまうようです。「陣痛を体験したい」という人に、一度自然に陣痛がついてから手術を行ったり、帝王切開後でも赤ちゃんを胸に抱くカンガルーケアをしていたり、母乳育児のサポートをしていたりといった配慮のあるケアをやっている産院もあります。

だからこそ「帝王切開については何も知らなかった」ではなく、事前に正しい知識を勉強しておくことが大事です。産院から説明についても、やはり自らが積極的に納得いくまで説明を求めるという姿勢も大切でしょう。

私は小学校で「命の力をお話しする誕生学プログラム」を実践していますけが、各教室には帝王切開で生まれたお子さんも10~15%はいるわけです。そのときには「自然分娩の場合は産道といういのちの道を回って進んで産まれて来るけれど、何らかの理由でそれが難しかった場合は、たくさんの人にいのちの道を作ってもらって、見守られながら産まれて来るという方法もあるよ」ということをお伝えしています。

いずれにしろそうした心の持ち方は子育てに反映されるもの。がんばった末の帝王切開で、自分の命の力に対して真剣に向き合ったという思いを大切にして、どんなお産だったとしても誇りをもって子育てをしましょう。

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