帝王切開とは、子宮を切開して赤ちゃんを取り出す出産方法

帝王切開での出産数は増加傾向です

帝王切開での出産数は増加傾向。5人に1人は帝王切開で出産する時代。

帝王切開とは、お母さんか赤ちゃんに何らかの理由(逆子など)があって、経腟分娩が難しいと判断された時に、腹壁と子宮を切開して、赤ちゃんを外科的に直接娩出する出産方法のことをいいます。帝王切開には、赤ちゃんの大きさや母親の健康状態などから診断し、陣痛が起きる前に計画的に行う「予定帝王切開」と、お産の途中でトラブルが発生し、母子が危険と判断されたときに行う「緊急帝王切開」があります。

■目次  

「帝王切開」という名前の由来は誤訳説が一般的

「帝王切開」はすでに私たちに馴染みのある用語になっているので、そうは感じないかもしれませんが、実に仰々しい言葉です。その由来は以下のように考えられています。

1. ドイツ語では帝王切開のこと「Kaiserschnitt(カイザーシュニット)」といいます。 Kaiserとは、「分離する」「切り分ける」と言う意味の他に「皇帝」という意味があり、shinittは「切開する」という意味があるので、ドイツ語から日本語にするときに、間違って誤訳されたという説が一般的です。
 
2. 紀元前3世紀、古代エジプトでの帝王切開の記録が残っています。「帝王切開」を意味する言葉をラテン語では「sectio caesarea」といい、 caesareaとは切り刻むという意味ですが、ラテン語からドイツ語に訳される時、「caesarea」を古代ローマの将軍「シーザー」と語訳してしまった。すなわちドイツ語の「Kaiserschnitt」がすでに間違っているという説もあります。
 

2人に1人が帝王切開で産む時代がくる?!

さて、その帝王切開ですが、かつては「伝家の宝刀」ともいわれ、めったなことでは使用されない出産法でした。ところが、近年、帝王切開は増え続けています。厚生労働省統計によると、分娩(ぶんべん)における帝王切開の割合は、1984年に7.3%でしたが1990 年には10.0%と年々高まり、2010年には全国の帝切率18.7%、2014年は約20%と推察されています。ここ30年で帝王切開率は倍増、今や5人に1人は帝王切開で出産する時代となりました。

その理由としては、高齢出産が増えていることが挙げられます。その他、不妊治療後の妊娠による多胎妊娠の増加や、若年女性の喫煙率の増加、リスクをできるだけとりたくない医師や産婦・家族の心理など、社会的事情の変化も背景にあります。

世界的にも帝王切開は増える傾向にあり、隣国の中国や韓国は、40%をこえ50%にせまるまでになっています。WHO(世界保健機構)は15%を推奨しているので、あきらかに社会的、人為的な背景がそこには含まれています。

具体的に、中国では糖尿病患者や高齢出産の増加という医療的な背景以外に、「スタイルを維持したい」「出産の痛みに耐えられない」「吉日に出産したい」という産婦側の希望による帝王切開が年々増えていて、病院側も、帝王切開では収益が増収することから、それを受け入れている現状があります。あれだけの人口のほぼ2人に1人が帝王切開で産まれているのです。

日本はすでにWHOの基準を超えましたが、それでも他の先進国と比べるとまだ低く、帝王切開率の上昇に歯止めがかかっているわけではありません。他国を追随して、今後ますます帝王切開が増えてゆく可能性も否定できないのです。

帝王切開は必要な出産方法ではありますが、社会的な背景から、帝王切開が増えてゆく現状には深い危惧をおぼえます。
 

予定帝王切開による出産の流れ

帝王切開には、あらかじめ帝王切開の日が決まっている「予定帝王切開」と、その時の状況で手術が決まる「緊急帝王切開」があります。ここでは前者の予定帝王切開のスケジュールを説明します。
予定帝王切開の手術の流れとは?

予定帝王切開の手術の流れとは?

 

帝王切開手術前(準備)

  • 手術日が決まると、2週間前くらいに手術前検査が試行されます。検査内容は血液検査、胸部X線写真、心電図など
  • 入院は手術日前日のことが多いですが、当日朝の施設もあります
  • 3麻酔による誤嚥予防と、手術後の腸管麻痺予防のため、最後の食事から手術まで6時間、飲水から2時間絶つことが望まれます
  • 入院後、赤ちゃんの状態を検査し、血圧、脈拍、体温などをチェックします
  • 手術中、手術後、足の静脈に血栓を予防するため、足を圧迫する弾性ストッキングをはきます
 

帝王切開手術中

  • 手術前に、浣腸と一部剃毛、点滴のルートをとるために血管確保する
  • 麻酔は背中からの脊髄くも膜下麻酔(脊椎麻酔、腰椎麻酔)が主流。気管内挿管をして全身麻酔で手術する施設もある
  • 麻酔が十分に効いているのを確認し手術が始まる。おなかの切開はお臍の下の縦切開か、恥骨上の横切開で、15cm前後の切開。
  • 手術が始まってから赤ちゃんが生まれるまでの時間は約5分、手術時間は30~60分くらい。
  • 脊椎麻酔では、意識があるので、赤ちゃんの産声がわかり出産後すぐに対面できる
 

帝王切開手術後

  • 最近は手術直後から直接母乳をあげられたり、母子同室が可能な施設が増えてきた
  • 術後の痛みはあまり我慢せず、早めに痛み止めを使ってもらうのがよい
  • 血液が下半身にうっ滞しないように、手術日でも麻酔がきれてきたら、ベッド上で下半身を動かす
  • かつては、手術後に排ガス(おなが)があるまで、飲食は禁止で産婦はひもじい思いをしていたが、今は経過が良ければ、2時間後から飲水、手術翌日から食事を始める施設が増えてきた(問題はありません)。
  • 手術後の肺塞栓を予防するため、早期離床が勧められている。手術翌日には、尿管カテーテルを抜去し、体調にあわせて動いたり、シャワーを浴びることも可能
  • 経過が良ければ、点滴は長くても手術後2~3日
  • 現在は溶ける糸を使うので、術後の抜糸をすることが少なくなった。手術の傷もシートで覆われたままで、シャワーもそのまま浴びてもらう。かつてのように毎日ガーゼを交換して消毒をすることは、かえって傷の治りを妨げることがわかってきた。
 

帝王切開での入院期間は1週間前後が目安

かつては2週間ほど入院していましたが、現在は1週間前後の施設が多いようです。
 
とはいえ、術後のケアはかなり変わってきています。ここで説明したのはあくまでも一つの目安です。施設によっても異なりますし、あなたの体調にあわせて、無理をしなくてもよいのです。
 

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※妊娠中の症状には個人差があります。記事内容は全ての方への有効性を保証するものではありません。体の不調を感じた場合は、自己判断せず必ず医療機関に相談してください。