予定帝王切開の場合、妊娠38週くらいに手術日が決められる

帝王切開でも、妊娠中から経腟分娩が難しいと考えられ、予め手術日を決めて実施するのが予定帝王切開(以下、予定帝切とする)です。手術日ですが、分娩予定日に近いと、陣痛がきて緊急帝王切開になる頻度が高くなること、また早すぎると赤ちゃんの呼吸障害のリスクが高まるので、通常は、予定日から2週間ほど早い、妊娠38週に手術予定が組まれます。


赤ちゃん側の理由で予定帝切になる適応とは?

胎児適応といって、赤ちゃん側の理由で予定帝切となりうる主な状態について説明します。

  1. 胎位の異常
    胎位とは子宮内での赤ちゃんの位置をいい、児頭が先進している頭位を正常胎位といい、骨盤位(さかご)、横位(頭と足が側腹にあり、背中や手)を胎位異常といいます。
    骨盤位は、全分娩の3~4%で、以前は条件がよければ経腟分娩をしていましたが、2000年に、英国の医学雑誌Lancetに「骨盤位は、帝王切開の方が経腟分娩よりう安全」26ヶ国の調査の結果が発表されてから、世界的に帝王切開が選択されるようになっています。
    横位の場合、陣痛により頭位にもどることもありますが、妊娠37週を過ぎ横位で手が先進してくるような場合も予定帝切となるでしょう。
     
  2. 巨大児
    これも施設によって異なりますが、超音波検査で胎児の推定体重が4000gを超える場合に帝王切開とすることがあります。
     
  3. 子宮内胎児発育遅延(胎児機能不全)
    逆に赤ちゃんが小さく、その原因として胎盤機能の低下が考えられる場合。

陣痛により赤ちゃんの状態が悪化する可能性が高いので、帝王切開が選択されます。

お母さん側の理由で予定帝切になる適応とは?

母体適応といって、お母さん側の理由で予定帝切となりうる状態について説明します(太字の場合は絶対適応といって、必ず帝王切開となります)。


  1. 前回帝王切開
    かつては、前回が帝王切開であっても、骨盤位や、胎児機能不全(赤ちゃんの状態がよくないこと)など、お母さんの骨盤の大きさが問題となり帝王切開となる、児頭骨盤不均衡・狭骨盤でなければ、次回の出産ではVBAC(ブイバック:帝王切開後経腟分娩)を試行することも一般的でした。

    しかし、VBACでは子宮破裂が約1%に起こることから(自然分娩の子宮破裂のリスクは0.007~0.02%)、最近ではこのリスクをとらなくなり、ほとんどの病院で前回帝王切開ではVBACを試行せず、反復で予定帝王切開になっています。ただし、帝王切開後にVBACで経腟分娩をしている産婦は、経腟分娩が選択されることが多いでしょう。
     
  2. 前置胎盤・低置胎盤
    前置胎盤とは、胎盤が子宮の下方に付着し、産道の子宮側出口(内子宮口)をふさいでいたり、胎盤の一部が子宮口にかかっている状態をいいます。前置胎盤では陣痛により、子宮口が開きかけると、子宮と胎盤の間の血管が破綻し大出血をきたすので、予定帝王切開となります。
    胎盤の辺縁がかかっている(辺縁)前置胎盤では、分娩時に赤ちゃんの頭が胎盤を圧迫することで、出血は多めでも経腟分娩ができることがあるので、かつては試験分娩といって、陣痛を待って実際に出血が多い場合だけ緊急帝王切開としていました。ところが、今は胎盤がどの程度子宮口にかかっているかにかかわらず、前置胎盤であればすべて予定帝切となります。

    さらに、子宮口に胎盤がかかっていなくても、すなわち前置胎盤ではなくても、内子宮口と胎盤の辺縁の距離が2cm未満の低置胎盤も、分娩時に出血が多くなる可能性もあるので、多くの施設ではそのリスクをとらず予定帝切となるでしょう。

    妊娠中期までは胎盤が内子宮口付近にあっても、妊娠週数が進んでゆくと胎盤位置は子宮底(上へ)方向へ移動してゆくので、前置胎盤・低置胎盤の診断が確定するのは最終的には妊娠34週ころです。妊娠後期の子宮収縮により出血がおこりやすいので、通常より少し早目の37週で手術日を決める施設も多いでしょう。それでもその前に出血する場合は緊急帝王切開となります。
     
  3. 児頭骨盤不均衡(CPD)・狭骨盤 
    最近は、狭骨盤の女性は少ないですが、児頭骨盤不均衡(CPD)が適応の帝王切開は年々増えています。骨盤腔と比べて児頭が大きいということですが、この適応が単純ではないのは、児頭は分娩時に骨を重ね合わせて(骨重積といいます)その形を骨盤の形に適合させてくるからです。

    これは難しいかなと思っても骨盤を通ってくることも、その逆もあるのです。予め骨盤レントゲン撮影や超音波検査と内診で診断がつきそうですが、なかなかそうはいきません。

    本来は十分な陣痛が来ても児頭が下降してこない場合の診断になりますが、最近では陣痛前に診断がつき帝王切開となる場合も多くなっています。
     
  4. 多胎妊娠
    多胎妊娠も、かつては双胎で先進時が頭位であれば、経腟分娩を試みていましたが、現在は多く産院では、多胎妊娠はすべて帝王切開となっています。
     
  5. 感染症(外陰ヘルペス感染,エイズなど)
    分娩直前に、外陰ヘルペスがでてくると、赤ちゃんに感染することがあり、そうであれば神経学的な後遺症を遺したり、亡くなったりする可能性が高いので帝王切開となります。

    エイズも帝王切開の方が母子感染率が低いと言われているので予定帝王切開となります。最近は、母体がC型肝炎のキャリア妊婦も帝王切開で出産する傾向にあります。
     
  6. 子宮手術の既往(筋腫核出術)
    子宮筋腫の手術で子宮(体部)にメスが入った既往がある場合は、子宮破裂のリスクが高くなるので、帝王切開になります。ただし、子宮筋腫でも有茎性といって、こぶのように発育した筋腫で、子宮にメスを入れず、茎をしばるだけで摘出した筋腫では、それだけで帝王切開にする必要はありません。
     
  7. 合併症(糖尿病、心疾患など)
    糖尿病がコントロールできない場合は、心臓の病気があり陣痛時の負担が大きいと考えられる場合は帝王切開になります。
     
  8. 高年初産婦
    40歳以上の後年初産婦を帝王切開とする場合もありますが、個人差もあり、施設や医師によっても考え方は違います。

>>帝王切開の手術方法と出産の流れ

>>帝王切開での出産体験を受け入れられないとき

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