口座振替と社会保険料控除
後期高齢者医療制度の保険料は、原則年金から天引きされます。しかし、年金額の少ない人の場合、その保険料を配偶者あるいは子どもが負担しているケースが少なくありません。そこで、平成21年4月からは市区町村に申請すれば、年金からの天引きに換えて実際に保険料を負担する人の口座から保険料を振替納付することができるようになりました。後期高齢者医療制度の保険料は、所得税や個人住民税を算出する時に社会保険料として控除できるものです。年金から天引きされると、保険料は本人が負担したと判断されます。配偶者や子どもが負担したとしてもです。実情に合わせ保険料を負担する人の口座から振替納付できれば、口座名義人が保険料を負担したとみなされ社会保険料控除を受けることができるようになります。結果、課税所得が少なくなるので所得税や個人住民税の額が安くなります。
ではどの程度軽減するのでしょうか。京都市に住む75歳以上の夫婦(夫の年金額300万円・妻の年金額79万円のみ)世帯で考えて見ましょう。京都府の後期高齢者医療広域連合の保険料は、
- 夫の後期高齢者医療制度の保険料 172,006円
- 妻の後期高齢者医療制度の保険料 44,410円
- 所得税 44,410円×5%=2,000円(1000円未満切捨て)
- 個人住民税 44,410円×10%=4,400円(100円未満切捨て)
課税の目安は206万円
誰もが「配偶者の保険料を負担すると節税になる」ワケではありません。年金収入のみの75歳以上の夫婦世帯の場合、所得税と個人住民税(所得割)が課税される目安は次のようになります。*個人住民税の均等割がかからない所得は、地方自治体により異なりますが、所得割がかからない所得より若干低くなります。事前に地方自治体のホームページで確認してください。
口座振替の手続きは、
- 金融機関で口座振替の申込みをする
- 「口座振替依頼書のお客さま控え」を持参し、市(区)役所の窓口で「納付方法変更申出書」を提出する
後期高齢者医療制度は、平成24年度末までに廃止し新たな制度に移行する予定です。わざわざ口座振替の手続きをしても、節税メリットが2年間しかないとすると……。さあ、どうします?