第34回世界遺産委員会速報
新たに世界遺産に登録されたフランスはアルビの中世の街並み。右奥にはタルン川にかかる古い橋=ポン・ヴィユーが見える
なお、新たに登録されたり拡大された世界遺産の日本語名はガイドが適当に訳したもので、正式なものではない。世界遺産とは世界遺産リストに記載された物件を示し、そのリストは英語とフランス語で書かれている。ということで、記載した英語名が正式名称となる。
危機遺産リストの変更
これまで31件が危機遺産リストに登録されていたが、エクアドルの「ガラパゴス諸島」が削除され、新たに4件が加えられた。これで危機遺産リスト記載の物件数は34となった。<危機遺産から削除>
■ガラパゴス諸島
Galapagos Islands
エクアドル、1978年、2001年拡大、(vii)(viii)(ix)(x)
2007年、外来種の侵入、観光客の増加、漁業の拡大等により危機遺産入りしたが、エクアドル政府の対策が認められ、また今後も遺産保護に努めるということで、危機遺産リストより外された。
<危機遺産入り>
■バグラティ大聖堂とゲラティ修道院
Bagrati Cathedral and Gelati Monastery
グルジア、1994年、(iv)
グルジアでは10~11世紀に建築されたバグラティ大聖堂の再建計画が持ち上がっているが、その計画が真正性と完全性を損ないかねないものとして、危機遺産リストに登録された。
■カスビのブガンダ歴代国王の墓
Tombs of Buganda Kings at Kasubi
ウガンダ、2001年、(i)(iii)(iv)(vi)
2010年3月16日、18~19世紀に栄えたブガンダ王国の宮殿であり、ガンダ族の聖地となっていた王墓が焼失。13世紀から続くブガンダの貴重な建築であり、再建が望まれている。
■アツィナナナの雨林
Rainforests of the Atsinanana
マダガスカル、2007年、(ix)(x)
アツィナナナでは、木々の伐採やキツネザルの密猟等が禁止されているにも関わらず対策が不十分で、違法な材木等が市場に出回ってしまっている。これを防ぐ方策の推進が求められた。
■エバーグレーズ国立公園
Everglades National Park
アメリカ、1979年、(viii)(ix)(x)
2007年に一旦危機遺産リストから外されたが、河川の流入量は60%も減り、水の富栄養化等で湿地や河川の環境は悪化。これを懸念したアメリカは自ら危機遺産リスト入りを提案した。