新登録の複合遺産

これまでの25件に下記1件と、自然遺産から拡大登録された1件を加えて計27件となった。

■パパハナウモクアケア
Papahanaumokuakea
アメリカ、2010年、(iii)(vi)(viii)(ix)(x)
ハワイ島の北250kmに位置する小さな島と環礁からなる海洋遺産で、絶滅危惧種ハワイモンクアザラシをはじめ、多様な動植物が存在する。また、ハワイの先住民に「魂が生まれ帰る場所」と信じられており、貴重な遺構も多く、文化遺産としての側面も評価された。

拡大された世界遺産

下記8件の世界遺産が拡大された。これまで自然遺産だった「ンゴロンゴロ保全地域」は文化遺産としての価値も認められ、今回複合遺産に拡大登録された。なお、これ以外にも日本の「石見銀山遺跡とその文化的景観」の軽微な拡大も認められており、大森の山林や温泉津港の港などが追加されている。

■サン・ジョルジオ山
Monte San Giorgio
イタリア/スイス、2003年、2010年拡大、(viii)
スイスの「サン・ジョルジオ山」を拡大。2億年以上前、中生代三畳紀の生物たちの記憶をとどめた化石が多数出土する世界遺産で、今回は隣接するイタリア側も加えられた。

■グラーツ市:歴史地区とエッゲンベルク城
City of Graz - Historic Centre and Schloss Eggenberg
オーストリア、1999年、2010年拡大、(ii)(iv)
「グラーツ市歴史地区」を拡大。加えられたエッゲンベルク城は1625年前後に建てられた貴族エッゲンベルク氏の居城で、後期ルネサンスからバロックにかけての特有のスタイルを見せる。

■コア渓谷とシエガ・ヴェルデの先史時代のロック・アート遺跡群
Prehistoric Rock-Art Sites in the Coa Valley and Siega Verde
スペイン/ポルトガル、1998年、2010年拡大、(i)(iii)
ポルトガルの「コア渓谷の先史時代のロック・アート遺跡群」を拡大。645もの先史時代のロック・アートが残るスペイン側のシエガ・ヴェルデが追加された。

■ランメルスベルク鉱山と古都ゴスラー、ハルツ上部の水利システム
Mines of Rammelsberg, Historic Town of Goslar and Upper Harz Water Management System
ドイツ、1992年、2010年拡大、(i)(ii)(iii)(iv)
「ランメルスベルク鉱山と古都ゴスラー」の拡大。新たに加わったハルツには、人工池や地下排水菅等の複雑な水利システムが整備され、水や水力を利用して鉱石抽出に利用された。

■レーロース鉱山都市とその周辺
Roros Mining Town and the Circumference
ノルウェイ、1980年、2010年拡大、(iii)(iv)(v)
名前はそのままでの拡大。レーロースは銅山で栄えた鉱山都市で、17世紀からおよそ2,000もの木造建築が残っている。今回は精錬所等を含む隣接の歴史地区が追加された。

■ピリン国立公園
Pirin National Park
ブルガリア、1983年、2010年拡大、(vii)(viii)(ix)
名前はそのままでの拡大。特有の草原や断崖絶壁が広がるピリン山の標高2,000mを超える地域が新たに世界遺産に登録された。

■スチェヴィツァ修道院の復活聖堂
Church of the Resurrection of Sucevita Monastery
ルーマニア、1993年、2010年拡大、(i)(iv)
「モルドヴィア地方の教会群」を拡大。ルーマニア正教会の教会には多数のビザンチン式フレスコが残されており、今回は7つの教会に新たに復活聖堂が追加された。

■ンゴロンゴロ保全地域
Ngorongoro Conservation Area
タンザニア、1978年、2010年拡大、(iv)(vii)(viii)(ix)(x)
名前はそのままで自然遺産から複合遺産へ拡大。ンゴロンゴロ保全地域はマサイ族が暮らす地域で、そのためセレンゲティ国立公園から切り離されて別々に世界遺産登録された。今回はマサイ族の文化遺産としての価値が認められ、複合遺産となった。

今回の世界遺産では39件の世界遺産候補が登録を目指したが、登録されたのはわずかに21件で通過率53.8%。世界遺産登録の厳格化は依然として進んでいるようだ。

なお、第35回世界遺産委員会は2011年の夏にバーレーンで開催される。ここで日本の「平泉 ‐仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」と「小笠原諸島」が世界遺産登録を目指す予定だ。

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