事故が多い現実にも目を向けよう
子どもの安全のためにはヘルメットを! |
交通事故総合分析センターの調査では、2人乗り、3人乗りで事故にあい、亡くなった6歳以下の子どもの数は毎年1~2名。死傷者(即死ではないがケガをして、そのケガが元で後で亡くなった人も含む数字)は、2人乗りで毎年1,500人程度、3人乗りでは500~600件弱あることがわかっています。事故は決して珍しいものではありません。3人乗りをするなら、ヘルメットやしっかりとした補助椅子を使うなど、子どもたちへのガードも怠らないようにしたいものです。
「3人乗っても安心な自転車を開発」の矛盾
テレビなどでの多く報道され、育児中の母親たちからの猛反発があったことで、警察庁は「幼児2人を同乗させても安全に走行できる自転車の開発・普及について、可能性を含めて検討する」と発表しました。でも、3人乗せても安全な自転車が実際問題ないのに、法律だけ先に変えるのは本末転倒ではないでしょうか。そんな自転車がすでにできていて法律を厳しくするのであれば、とりあえずの順序は正しくなりますが、そういう自転車はきっと高価になるはず。国や自治体でそういった自転車への補助金を出してくれるのでしょうか? 子どもを前後に乗せる期間はわずか4、5年。それ以降は体重が増えて2人乗せるのは難しくなり、子どもも自分で自転車に乗れるようになると、3人乗せをする人はぐんと減って来るものです。ただでさえ育児への経済的な負担が多い日本で、わざわざ4、5年しか使えない特別な子ども乗せ用の自転車を買わなければならないとなれば、育児中の世帯を苦しめるだけになります。また、この交通事情が悪い日本で、3人を乗せても安全な自転車がどれだけ安全に走行できるのか、そちらも気になります。
自転車業界に詳しい関係者の中には、今回の道路交通法の改正と、それに伴う教則の変更について、「警察関係の大量退職者対策ではないか?」と見る人もいます。自転車の取り締まりを始めるようになれば、取り締まるスタッフが大量に必要になります。そこに、団塊の世代の大量退職者を入れて、再雇用をはかろうといているのだろう、というのです。
とにかく、自転車に毎日乗っている園ママの声をまるで無視して法律を改正しようとしたことだけは言えるよう。法律を担当する警察の方も、毎日3人乗りして園への送り迎えでもしてみれば、少しは大変さが身に沁みて、そんな非現実的な案は出せないでしょうにね。
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