そこで8月は、ガイドイチオシの園ママ必読の書のご紹介です。子育ては迷いの連続。悩んだ時、これでいいのかな?と思った時、ぜひ本に答えを求めてみてください。せっかくの夏休みだからこそ、普段はなかなか読めない大作にも挑戦してみたいものです。
保育園、幼稚園には入り直せない
『子どもへのまなざし』(佐々木正美著・福音館書店) どこから読んでも発見のある言葉が見つけられる名著 |
著者の佐々木正美先生は、児童精神科医として、長年、保育園や幼稚園、学校、児童養護施設などで、子どもたちやその親たちの診療を続けてきました。現場で見や子育てをめぐるさまざまな問題点について、まさにそういった問題に直面している保育士さんや幼稚園の先生のための勉強会で語ったことをまとめたのがこの本です。
本は「乳幼児期は人格の基礎をつくるとき」という項から始まります。人間にとって、なぜ、どうして乳幼児期が大切なのか、改めて考えさせられる項です。
先生は「乳幼児期の育児にあたる、みなさんのやっていることは、どれほど意義の大きいことか」と語ります。子どもの成育を家の建築にたとえ、どんな家でも基礎がしっかりしていなければ、いずれ傾いたり、揺らいだり、大変な状態になってしまうというのです。
それでも「大学の教育のような、あんな高等なことをやっているんじゃないのだから」と信じない人にも響くのは、「大学の教育なんていくらでもやり直しがきくのです」「ところが、10歳になって保育園というのはないのです。30歳になって保育園や幼稚園に入るなんてことは、ぜったいにできません」。
保育園や幼稚園の時期は、成長のワンステップとして案外軽く考えてしまいがちですが、確か、二度と繰り返すことのできない、大切な時間だと気づかされます。