「お昼寝は今まで通りひとりで、夜はベッドのわきについてあげてください。ときどき手をのばしてあげると、手をいじりながら必ず寝ると思います。」
===自主性を育てる『ひとり寝』===
子どもの自立心を育てるために、美智子さまは、3人のお子さまご誕生直後から自分のお部屋でお休みになる習慣をつけられました。小さなお子さまのことですから、ひとり寝をたいへんさびしがられましたが、美智子さまはお休み時間には絵本を読んであげるというお約束で、お子さまたちを納得させられました。
それでも、時々、浩宮さまが、しくしく泣かれることがありましたが、決して誰かが飛んで行くということはありません。厳しいしつけだと思われた方もあるかと思いますが、皇子室の前で立ち尽くしたまま、耳をそばだてる美智子さまのお姿が何度も見られたということです。お辛かったのは、浩宮さま以上に美智子さまだったのでしょうね。
「聞き分けの練習が大切と思われますので、ナルちゃんなりに納得のいく説明をして、してよろしいこと、してはいけないことがわかるように教えてください。」
===子どもが納得するまで辛抱強く説明する===
相手がたとえ小さくても、かならず言って聞かせる、納得できるように説明してあげることを美智子さまは実践されました。これは苦手な方も多いのではないでしょうか。
時々、こんな言葉を耳にします。
「○○ちゃん、だめよ。そんなことしたら、××さんにしかられるでしょ。だから、やめなさい。」
××さんにしかられるからではなく、なぜだめなのかのきちんとした説明が必要なのです。子どもが納得するまで辛抱強く説明するのは容易なことではありません。しかし、子どもの将来を考えると、その場限りの言葉では意味がありません。たとえその時は時間がかかっても、長い目で子どものことを考えると、それは決して無駄な時間ではないのです。
「お居間にある灰皿や煙草入れは片付けて、見えないところに置くように、マッチは見ている人のある時は箱ごとあげてください。軸の先をなめないように。」
===危険を避けるだけが母親の役割ではない===
美智子さまは、危険なものでも、できるだけ触れたり遊んだりするように環境を整えられました。
危険なことはさせない、危険なところには行かない、危険なものは触らせないといったように、危険を避けることは難しいことではありません。しかし、全部取り上げてしまうと、そのものへの興味が奪われてしまいます。子どもの好奇心の芽を摘み取ってしまうことになります。子どもには、色々な体験をさせることがとても大切です。
こんな両陛下に育てられた浩宮さまの初等科時代のエピソードを少しご紹介したいと思います。