塩の基礎知識と活用法
左が岩塩、右が海塩
最近はさまざまな塩を見かけるようになりました。でもどう使ったらいいのだろう、どれが美味しいのだろうと逆に悩んでしまうこともありませんか。
私は普段、下ごしらえや調理には焼塩タイプの海塩を使います。味付には同じ海塩と細かい粒子の岩塩を。そして、最後にふりかけて使う塩には粗めの粒子の海塩や岩塩を用意しています。肉料理やイタリアンなどでは岩塩、魚料理や和食では海塩、フレンチでは海塩、岩塩といった具合に、大まかな使い分けもしています。あとは個々の食材との相性で、組み合わせも楽しむのもいいでしょう。美味しい塩、好みの塩を持っておくと、素材を生かしたシンプルな料理が自ずと増えますよ。
では、採取地から分類した塩を、用途による使い分けなどと合わせて紹介します。
採取地による塩の種類・産地
■海塩海の水より作られる塩です。製法から分類して、塩田で海水を蒸発させて作る天日塩、海水を煮詰めて作る平釜塩があります。また、加工により、焼成(焼塩)、乾燥などと、製法とともに組み合わせで表示もされます。国内外問わず、多くの産地の塩が出回っていますが、ただこれらの違いは料理人やレストランは別として、家庭料理の味に大きな影響を及ぼすものではありません。これは使う個人の好みによるところです。
日常使いの塩としては、まず一つ持つならば、さらさらな海塩の焼塩タイプがおすすめです。かけ塩、調理塩としてどんな料理にも万能です。
■岩塩
海水が地層に閉じ込められ、塩分が結晶化したものです。ヨーロッパや北米、アジアなどの大陸が主な産地となります。粒子が大きいものはソルトミルを用い、砕いて使います。
日常使いの塩にもうひとつ加えるとしたら、ミルを使わず済む程度の粗めの粒子の岩塩を。焼いた肉や魚の仕上げに、味のアクセントとして、スパイス感覚で使うのがおすすめです。また、パスタを茹でる際には岩塩を使っても美味しいです。
■湖塩
塩湖でとれる塩で、代表的なものにウユニ湖塩やボリビア湖塩などがあります。ミネラル(にがり成分)が豊富で塩味もまろやかです。煮込料理やマリネなどにおすすめです。
塩の効果・作用
料理では味付のほか、調理中の「塩をふる」「塩でもむ」など、塩を使う場面が多く出てきます。それにはちゃんとした理由があります。例えば、ポテトサラダに加えるキュウリの下ごしらえの塩もみ、漬物などは脱水効果です。肉は脱水効果がききすぎて、旨味を逃さないよう、調理直前に塩をふります。その逆に、魚は塩をふったら少々置いて、臭みと水分を一緒に出します。その水分をキッチンペーパーでおさえてから調理すれば、臭みなく美味しく仕上がります。また、梅干などの塩漬けは塩分濃度を上げることにより、菌の繁殖を防いで保存性を高めます。
それから、ほうれん草などの葉物野菜を茹でる際、塩を加えると色鮮やかに茹で上がりますよね。これは塩がクロロフィルの退色を防いでくれるからです。また、皮をむいたりんごは塩水につけて、ポリフェノールの酵素の作用をおさえます。これで変色を防げるというわけです。うどんやパン作りで小麦粉に塩を加えると生地に粘りが出て、肉や魚の練り製品に加えると弾力が出せます。
塩の使用量
■少々とひとつまみの違い・塩少々
親指と人差し指でつまんだ分量、小さじ1/10(0.5g)を目安
・塩ひとつまみ
親指、人差し指、中指でつまんだ分量、小さじ1/5(1g)を目安
■パスタを茹でる
100グラムに対して、1000ml(1リットル)の湯、1パーセントの塩を使用。塩は小さじ2(10g)使用
■あさりの砂抜き
海水同等の3パーセントの塩を使用。300mlの水に対し、小さじ2弱(9g)使用
塩の保存方法・賞味期限
保存場所はキッチンの引きだし、冷蔵庫など湿気の少ないところで。保存容器に炒った米を加えるのも手です。炒った米が塩に代わり、湿気を吸ってくれます。また、固まった塩はおろし金ですりおろすか、フライパンで乾煎りして焼塩としても。塩は腐るなどしないため、賞味期限は定められていません。【関連記事】