税金/所得税

所得税がかからない「非課税所得」とは?身近なものでは通勤手当、慰謝料、宝くじの当せん金など

非課税所得とは「所得税という税金がかからないもの」です。原則的には、儲け・収入を得れば所得税を払う必要がありますが、その儲けが「非課税所得」と見なされれば、所得税はかからず確定申告も必要ありません。非課税所得としては何が該当するのでしょうか? 副業の儲け、出張費や通勤手当、宝くじの当せん金、慰謝料、祝い金……気になるポイントをまとめました。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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非課税所得とは?通勤手当、慰謝料、各種手当金や宝くじの当せん金などいろいろあります

「副業ってどの程度なら会社や税務署にバレない?」「家計を助けるために副業を考えているが、税金面で損になるのはイヤ。どうすればいい?」という相談をよくいただきます。
どの程度の副業ならバレないかは、「確定申告する必要がない」ということが条件

どの程度の副業ならバレないかは、「確定申告する必要がない」ということが条件

どの程度の副業ならバレないかは、「確定申告する必要がない」ということが条件です。確定申告の必要がなければ、税務署や市区町村にそのような収入があることを報告する義務が最初からありません。このような所得のことを「非課税所得」といいます。
 

非課税所得は、儲けではあるが所得税がかからないもの

記事「税金にはどんな種類があるの?」でも説明したように、儲けにかかる税金が「所得税」、稼ぎにかかる税金についての取り決めが記してあるのが「所得税法」、所得税法にかかわるイベントが「確定申告」や「年末調整」です。

言い換えれば、非課税所得とは「所得税という税金がかからないもの」です。儲けにかかる税金が所得税ですので、所得税法において「儲け」と見なされているものを押さえることが、非課税所得を理解するためには必要です。
 

副業という所得区分はない

所得税法上の儲けとは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得・雑所得のいずれかの区分に属するものです。

ここでのポイントは、私たちが通常の会話でよく使用する「副業」という所得区分はないということです。「副業ってどの程度ならバレない?」という質問を受けたら、「そもそも、あなたの想定している副業って何ですか?」というところから、聞き返さなくてはいけないでしょう。
 

副業の内容によって所得区分も所得税のかかり方も異なる

一口に「副業」といってもさまざまな種類があり、その性質によって所得区分は異なります。

●ネットオークションやフリーマーケットで得た儲け
所得税法上は「雑所得」という所得区分となります。まれに、ネットオークションやフリーマーケットなどで生計をたてている人もいますが、そのような人は「事業所得」となります。

●アパートやマンションの経営で得た儲け
所得税法上では「不動産所得」となりますし、株の売買取引で得た儲けは「譲渡所得」、配当は「配当所得」となります。

●アルバイト等を掛け持ちした場合の収入
正社員で働いている人が、給料やボーナスの減額に対応するためアルバイトをというのであれば、そのアルバイト収入は「給与所得」となります。

自分の想定している副業が所得区分のいずれに該当するかを調べた上で、雑所得とは、不動産所得とは、譲渡所得とは……と各所得ごとの詳細を調べていったほうが、間違いや勘違いが少ないように思います。
 

「生活に必要なもの」を売って得た儲けは非課税

ネットオークションやフリーマーケットといった副業は、所得税法上は一般的に「雑所得」という所得区分となる、と前述しました。

しかし、「ネットオークションやフリーマーケットで実際に確定申告なんてしている人はいるの?」という疑問も聞こえてきそうです。おそらく、ネットオークションやフリーマーケットを行っている人の多くは、確定申告をせずにそのまま放置しているのが現状でしょう。なぜそのままで済んでいるのかというと、所得税法には「生活用動産の譲渡による所得は非課税」という規定があるからです。

これは「納税者本人またはその配偶者その他の親族が、生活の用に供するための家具・什器・衣服など、生活に必要な動産を売却した場合の儲けは非課税とする」という規定です。ネットオークションやフリーマーケットで取り扱われている物品の多くはこの「生活用動産」の譲渡である、と解釈されているのでしょう。

しかし、中には、明らかにネットオークションやフリーマーケットに「業者」として参入してきているようなケースも散見されます。前述のように、通常は「雑所得」、生計を維持できる規模であれば「事業所得」に該当するということです。
 

通勤手当、慰謝料、各種手当金…身近な非課税所得の例

上記の副業のようなケース以外にも、課税対象とならず、確定申告をする必要もない「非課税所得」はあります。主に次の2種類に分けられます。

そもそも「所得」ではないもの
所得税とはそもそも所得、つまり、儲けに課される税金なので、「儲け」が存在しないものは非課税所得となります。具体例は以下のとおりです。

・心身または資産に加えられた損害を補てんするための損害保険金、損害賠償金、慰謝料

・会社員が受ける、職務上で必要な制服等の現物給付

・会社員が精算する出張旅費や、経済的・合理的な範囲内での通勤手当(月額15万円以内)

・健康保険から給付を受ける傷病手当金、出産育児一時金、出産手当金


たとえば慰謝料は、精神的・身体的ダメージを補てんするための金銭的負担と考えるので、そもそも「儲け」ではないとされます。損害保険金や損害賠償金も同様の考え方です。

職務上で必要な制服等の現物給付や出張旅費、通勤手当も、会社員が雇用主から課せられた業務を遂行するための給付です。会社員からみれば「儲け」ではありません。

出産育児一時金は出産育児費用の補てん、出産手当金は出産にともない会社を休んだことに対する給与の補てんなので、やはり「儲け」ではないのです。

社会政策的に非課税とされているもの
こちらは「それに税金を課すのはいかがなものか」という考えが根底にあるもの、あるいは、社会政策的な背景を受けて設けられたものなので、やや種類が多いです。具体例は以下のとおりです。

・雇用保険により支給を受ける失業給付

・生活保護により支給を受ける保護金品

・慶弔関係の祝い金、香典、見舞い金で社会通念上必要なもの

・当せん金付証票の当せん金品(いわゆる宝くじ)

・スポーツ振興のための当せんの払い戻し金(いわゆるサッカーくじ)


社会政策的な背景を受けて設けられた「非課税所得」は、社会政策や環境の変化によって変更があります。最新の情報を知るためには、その年分に施行されている税法をチェックすることも必要になってくるでしょう。

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