公的年金の2つの大原則が「未支給年金」を引き起こす!?

公的年金は権利が発生した翌月から権利が消滅した月分まで支払われるという原則がある。これにより発生する「未支給年金」とは?

公的年金は権利が発生した翌月から権利が消滅した月分まで支払われるという原則がある。これにより発生する「未支給年金」とは?

案外知られていない年金を受け取る原則があります。それは下記の2つです。
  • 請求しないと受け取れないこと
  • 後払いであること
まず「請求しないと受け取れない」という原則については、「年金を受け取る手続と注意点を確認しよう」でも触れた通りで、「もらえる権利が発生しても、請求しなければいつまで経っても受け取ることができない」ということになります。

もう一つ、「後払い」の原則とは何かというと、公的年金は原則的に年に6回偶数月に2カ月分ずつ支払われるのですが、例えば4月に支払われる年金は、2月分、3月分の年金となります。先払いではなく「後払い」なのです。

これだけ見ると、何てこともない原則なのですが、この原則をしっかり理解しておかないと、思わぬ「損」をしてしまうことがあるのです。
 

払いたくても払う相手がいないから「未支給年金」が発生する

公的年金は「請求しなければ受け取れない」とはいえ、受け取る権利自体は自動的に発生することになります。例えば老齢基礎年金で考えてみると、令和3年1月に65歳の誕生日を迎える方については、他の受給要件が整っていれば、その時点で権利は自動的に発生し、実際の年金の支払いは誕生日の翌月である2月分から始まることになります。

権利は自動的に発生していますから、たとえ請求手続きが遅れたとしてもちゃんと年金の支払いは2月分から受け取れます(時効があるため、さかのぼれるのは5年間分となりますのでご注意を!)。

ただ、いくら請求は遅くなってもよいとはいえ、もしも請求する前に死亡してしまったらどうなるでしょう? いくら権利が発生していたとしても、受け取る本人がいないと払いようがありません。「宙に浮いてしまった年金」とでも言えるでしょうか?

「払いたくても払う相手がいない」これは必ず起こること。これを「未支給年金」といいます。
 

後払いという制度上必ず発生する「未支給年金」

65歳で受給権が発生して、実際の請求手続きをしないまま67歳で死亡したとすると、65歳から死亡するまでの2年間分は、権利はあるけど払う相手がいないため、払いようがない状況となります。これを「未支給年金」といいます。

「請求しないまま亡くなるってケースは、あまり多くないからそんなに気にしなくてもよいのでは?」と思われるかもしれません。

ただそうとは言えないのです。この「未支給年金」は、年金を受け取る人には「必ず」発生するものなのです。その理由が、上段に書いた「後払い」の原則に隠されています。

年金を受け取っている方も、いずれは亡くなる時がおとずれます。例えば年金を受け取っている方が10月に亡くなられたとすると、年金を受け取る権利は10月分まであることになります。

この10月分の年金は後払いのため、実際の支払いは12月に行われることになりますが、その支払時の12月には本人は(10月に死亡しているため)いないため、支払いようがないことなります。

亡くなった時(月)まで年金を受け取る権利があって、それを後払いする制度ですから必ず「払い残した年金(宙に浮いてしまった年金)」が発生するわけです。
 

未支給年金を請求できる人って?

権利はあるのに払う相手がいないため、支払いようがない「宙に浮いた年金」ともいえる未支給年金ですが、これはこれで「請求」すれば受け取れることができます。

といっても、本人はいない訳ですから、本人の遺族が請求することになります。ただこれは「遺族年金」ではありませんので遺族年金の請求とは別に請求する必要があります。実際の手続方法は、下の「関連リンク」をご参照ください。

年金を受け取られている方のご家族は、受け取られている方が亡くなった際に、
・亡くなったことの届出
・未支給年金の請求
をすることになります。

この未支給年金は、老齢年金だけに限りません。障害年金や遺族年金を受け取っていた方が亡くなった場合にも「未支給年金」は発生します。額としては、わずかな場合が多く、1回きりの一時金なわけですが、これはこれで権利ですから忘れずに請求したいものです。

【関連リンク】
「年金を受けている方が亡くなったとき」の手続き 日本年金機構

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