毎月同じ保険料を払っているAさんとBさん

同じように保険料を払っているのに、受け取れる年金に格差があるケースがあります。この格差は「会社員と自営業者」との間のものです。なんと、同じ保険料額を払っているのに、受け取る年金額に「最大月9万円」もの大きな差があり得るのです。

自営業者が加入する国民年金の保険料は月16,340円(平成30年度)です。一方、これと同じだけ保険料を支払っている(給料から天引きされている)会社員はというと、厚生年金の保険料は給料(標準報酬月額)によって変わってきますが、現在は給料が月18万円程貰っている方となります。給料月額(標準報酬月額)が18万円の人は、現在毎月16,470円(平成29年9月~)が給料から天引きされているはずです。

では毎月の保険料がほとんど同額である、「毎月の給料が18万円の会社員」と「自営業者」で将来受け取る老齢年金にどれだけの差があるのかを検証してみたいと思います。
 

会社員の保険料は国民年金+厚生年金

国民年金の保険料を支払う自営業者が受け取れる年金(老齢基礎年金)は、40年間支払うと現在満額779,300円(平成30年度)です。これは簡単ですね。

では、毎月の給料が18万円の会社員が受け取る年金額はいくらになるのでしょうか?

会社員が受け取る厚生年金の計算方法は、現在、以下の通りです。
平均標準報酬額×5.769/1000×被保険者の月数(従前額保障)

仮に入社から退職までの平均の給料が18万円で(ボーナスはなし)、40年間勤めていた場合、
180,000円×5.769/1000×480月となり、受取額は、498,400円(約50万円)となります。
(被保険者期間は平成15年4月以後のみ・スライド等を考慮せず)

これだけだと自営業者の方が多く見えますが、会社員の保険料である厚生年金には、国民年金分も含まれています。ですから、厚生年金の保険料が天引きされていることで、国民年金も納付していることになるわけです。従って、会社員を40年続けることで、40年分の厚生年金にプラスして満額の国民年金も受け取れることになるわけです。

■自営業者 
国民年金 約80万円

■平均給料18万円の会社員  
厚生年金 約50万円+国民年金 約80万円=約130万円

つまりほぼ同じ保険料を40年間支払うことで、受け取れる年金は年間約50万円もの差がつくことになります。
 

厚生年金には「家族手当」があり、更に第3号制度もある

同じ保険料で会社員と自営業者で受け取る年金額が50万円ほど差があることが分かりましたが、会社員の家族構成によって、この差は更に広がることになります。

厚生年金には、65歳未満の配偶者や18歳年度末までの子がいると加給年金という家族手当が加算されます。例えば配偶者につく加給年金は約40万円程になります(ただ加算されるのは配偶者が65歳までです)。詳しくは加給年金という家族手当をゲットしよう!を参照して下さい。

もう一つ、大きな格差を生む要因である「第3号被保険者制度」があります。この制度が適用されると、会社員の配偶者が第3号被保険者である場合、会社員の厚生年金保険料で、

■会社員本人の厚生年金
■会社員本人の国民年金
そして
■会社員の配偶者(第3号被保険者)の国民年金
まで、賄えてしまうことになるのです。

図で示すと、下のようになります。
点線部分の「配偶者加給年金」がプラスされると差は更に広がる。保険料については、平成30年度額

点線部分の「配偶者加給年金」がプラスされると差は更に広がる。保険料については、平成30年度額


仮に会社員の妻の第3号被保険者期間が30年あったとすると、60万円程の国民年金が配偶者に支払われることになりますので、加給年金を考慮に入れないとしても、差は50万円+60万円で110万円、月にして9万2千円もの差となるわけです。
 

年金格差の裏には、勤務先の協力がある!?

何故、同じ保険料でこれほどの格差が生まれるのか、ということの裏には、実は会社の協力があるのです。毎月の給料が18万円の会社員の保険料は、月16,470円と言いましたが、これは給料から天引きされている額であり、これと同額の保険料を会社が負担しているのです。従って、給料が18万円の会社員の本当の厚生年金保険料は16,470円の倍である32,940円なのです。

この32,940円を会社員本人と、会社が約半分ずつ保険料を払っているわけです。厚生年金の保険料は国民年金の保険料の2倍なのに、受け取れる年金額は(第3号被保険者分がなければ)2倍になっていません。先ほどの例だと、国民年金が80万円で、厚生年金は50万円。保険料が倍だから、厚生年金も50万円ではなく80万円でなければ「割が合わない」ですよね。

ですから本当は、”厚生年金は国民年金よりも「お得ではない」制度”であることが分かります。「会社員と自営業者の「費用対効果」格差」は会社の協力があって成り立っているものなんですね。

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