毎月の保険料計算の元となる「標準報酬月額」

健康保険の保険料も標準報酬月額×保険料率で決まる。但し、等級は厚生年金の30等級よりも多い47等級となっている

健康保険の保険料も標準報酬月額×保険料率で決まる。ただし、等級は厚生年金の30等級よりも多い47等級となっている

厚生年金では、納める保険料の額を決定したり年金受給額を決定したりする時に、計算の元になるものを給料などの報酬そのものの金額ではなく、区切りのよい幅で区分した「標準報酬」というものを使用します。

まずは、保険料の額を決定するときの「標準報酬月額」の使われ方からみていきましょう。

会社員の皆さんが毎月負担する厚生年金保険料は、「標準報酬月額×保険料率」で決まります。この「標準報酬月額」とは、文字通り「報酬の月額」。要は皆さんの月額の給与ということになるのですが、給料額と完全に一致するわけではありません。

標準報酬月額は原則1年間変わらない

皆さんの標準報酬月額は、毎年1回(7月)に4月、5月、6月の給料(報酬)の平均額を用いて国が決めています。7月に決まった標準報酬月額は、大幅な給料の増減がない限り、1年間(9月~翌年8月まで)固定されます。

標準報酬月額は全30等級。かなり大ざっぱ

標準報酬月額については、平成28年9月までは、30種類(等級)となっています。

・1等級  9万8000円
・2等級 10万4000円
・3等級 11万0000円
(中略)
・28等級  56万0000円
・29等級 59万0000円
・30等級 62万0000円

尚、平成28年10月からは、1等級の下に1つ等級が加わり31等級ということになります。
・1等級  8万8000円
・2等級  9万8000円
・3等級 10万4000円
(中略)
・29等級  56万0000円
・30等級 59万0000円
・31等級 62万0000円

といった具合に、先ほど触れた3カ月(4、5、6月)の報酬の平均額を等級に当てはめることになります。

例えば、「24等級 41万0000円」については、4月、5月、6月の給料(報酬)の平均額が39万5000円以上42万5000円未満が該当しますので、算出された平均額が39万8000円の人も42万0000円の人も、同じ「24等級 41万0000円」になります。

また、等級には上限(31等級 62万0000円)が設定されています。仮に4、5、6月の平均が100万円だったとしても、等級は31等級となります。
(いずれも平成28年10月以降の等級)

【参考】日本年金機構
平成28年10月以降の厚生年金保険料額表

報酬には通勤交通費や残業代も含まれる

先ほど書いた2つの特徴は、「事務処理の簡略化のため」に生み出されたものです。厚生年金の保険料は毎月納付しますので、事務処理をする会社としては、毎月一人ひとり保険料を算出するのは大変ですし、国も管理が大変という事情があるのでしょう。

さて、標準報酬月額を算出する根拠になる給料ですが、基本的に毎月受け取るもの全てが入ると考えてよさそうです。

ですから、「通勤交通費」や「残業代」も報酬に含まれます。同じ基本給でも、通勤交通費が高い人ほど標準報酬月額も高くなりますし、残業、それも4月から6月の間が多ければ標準報酬月額も高くなるという仕組みになっています。

ただ、見舞金や大入り袋等、臨時に受け取るようなものは報酬に入りません。当然、ボーナス(年4回以上支給される場合は除く)も報酬には入りませんが、ボーナスについては「標準賞与」として別途保険料がかかることになります。

よく通勤定期代を6カ月ごとに支払う会社がありますが、この場合は本来1カ月ごとに支払うものを便宜上まとめて払っているだけのことですので、1カ月分が算入されることになります。

ボーナス(賞与)の保険料はどう計算する?

ボーナスの保険料の計算は、月額給料のような「等級の当てはめ」はありません。単純にボーナス額(1000円未満の端数切り捨て)に保険料率を掛けて算出します。1000円未満の端数を切り捨てたボーナス額を「標準賞与額」と言います。

なお、標準報酬月額と同じように上限(1月あたり150万円)が設定されています。

年金計算のポイントとなる「平均標準報酬(月)額」とは

標準報酬月額は保険料算定にも使われますが、将来受け取る年金額の算定にも利用されます。

前述の通り、保険料は「原則1年間変わらない」ということを前提に計算され、また等級にあてはめ「かなり大ざっぱ」に計算されます。しかし、年金受取額を計算する際には、厚生年金に加入している期間の報酬は一定ではないことをきちんと考慮し、「加入期間全ての標準報酬月額の平均」を算定した「「平均標準報酬(月)額」が利用されます。

ただ、単純に平均するわけではありません。なぜなら、今の物価水準(賃金水準)と昔とでは差があるからです。例えば、今からおよそ40年前の昭和45年の大卒の初任給は4万円ほどだったようです。今は20万円ほどですよね。

この差の調整を行ったうえで平均を算出します。算出された平均報酬が高ければ高いほど受け取る年金が増えることになります。厚生年金のことを「報酬比例年金」と言われる所以でもありますね。

「平均標準報酬額」と「平均標準報酬月額」との違いとは

年金額の計算がややこしいのは、この物価水準の調整が原因の一つでもあるのですが、それに加えて、平成15年4月に導入された「総報酬制」が追い討ちをかけています。

具体的にはこの「総報酬制」の導入により、平成15年3月までは、「平均標準報酬月額」(月給のみ)だったものが、平成15年4月からは、「平均標準報酬額」(月給+賞与(ボーナス))となったのです。

「平均標準報酬額」とは、簡単に言えば年間に受け取る給料とボーナスの合計(年収)の12分の1ということになります。

なお平成15年4月をまたいで加入期間がある人については、平成15年3月までの期間は、月給のみ(標準報酬月額)で、平成15年4月以降は、月給+賞与で算出された平均標準報酬額でそれぞれ年金額を計算するので、さらにややこしくなっていますね。

ボーナスがある人は、通常月給だけで計算する「平均標準報酬月額」よりもボーナスを含んで計算する「平均標準報酬額」のほうが高くなるわけですが、実際の年金の計算については、
  • 「平均標準報酬月額」×7.125/1000×(平成15年3月までの)加入期間
  • 「平均標準報酬額」×5.481/1000×(平成15年4月以降の)加入期間
    (本来水準による計算式 7.125、5.481という乗率については生年月日で読み替えあり)
と年金が増えないようにちゃっかり調整をしています。

この標準報酬月額、標準賞与額については、皆さんの元に届いている「ねんきん定期便」に記載されていますので確認してみてください。

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