年金/国民年金保険料の免除・猶予

同じ免除でも、将来の年金受取額に差がある(2ページ目)

国民年金には保険料の免除制度がありますが、通常の免除制度の他に、「学生」の免除、「若年者(30歳未満)」の免除という制度があります。通常の免除制度と「学生」「若年者」の免除制度の差を検証します。

和田 雅彦

執筆者:和田 雅彦

年金ガイド

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免除には年齢によって3つの種類がある

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半額免除、4分の3免除、4分の1免除については、残りの部分を納付しなければ「滞納」と同じ扱いとなることに注意
さて、「免除」を申請すると言っても、現在の免除制度はちょっと複雑になっています。

■通常の「申請免除」
■学生の保険料納付特例
■若年者(30歳未満)の納付猶予制度

と3つにわけることができます。

通常の申請免除についても、まず保険料を全て免除してもらう「全額免除」、半分だけ免除してもらう「半額免除」、その他「4分の3免除」、「4分の1免除」と所得に応じて様々な免除が用意されています。

「学生」も「若年者」もまず申請し、要件に該当すれば認められるのですが、この2つの制度と(通常の)免除制度には大きな違いがあります。それが所得要件の考え方です。

通常の免除制度については、申請者本人の所得が要件に該当しても、世帯主や配偶者が該当しなければ申請は認められないことになります。

従って、例えばある程度の収入がある親と同居している学生や無職の人は、本人は要件に該当していたとしても「通常の免除」は認められないことになってしまいます。

要件は緩やかだが、将来の年金額に差

その面を考慮して「学生の納付特例」と「若年者の納付猶予制度」については、自分の所得のみ(「若年者」については配偶者の所得も要件に満たす必要あり)で判定されます。

ですから、先ほどの親と同居しているケースであっても、親の所得は関係なくなりますので要件に該当することが可能となります。

「学生」「若年者」は「通常」よりも要件が緩やかというメリットがある反面、デメリットもあります。

通常の免除については、免除された期間は年金を受け取るために必要な期間(受給資格期間)はもちろんのこと、年金額にも(全額納付とは差があるものの)一定額が反映されることになります。

それに対し、「学生の納付特例」「若年者の納付猶予制度」については、年金を受け取る期間には反映されるものの、年金額には反映されません。

同じ保険料の免除制度でも、将来の年金額については大きな差がつくことになります。「学生の納付特例」「若年者の納付猶予制度」は、正確に言うと、「免除」ではなく保険料の支払いを一定期間「猶予」する制度です。

「通常の免除」と「学生の納付特例」「若年者の納付猶予制度」とは年金額について取り扱いが違うことを頭に入れておきたいですね。

【関連記事】

年金不正免除問題 「免除」と「滞納」って
社会保険庁:保険料免除制度について


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