確定申告で払いすぎた税金を取り戻せるかも?

いよいよ確定申告のシーズンがやってきました。会社勤めの方は、年末調整があるので、確定申告は自分にはあまり関係ないと感じられるかもしれません。けれども、確定申告は1年間分の税金を正しく精算する大切な制度です。何もしないと、余計な税金を払っているということもあります。

そこで、確定申告の手続き概要と共働き夫婦のためのちょっとおトクな確定申告情報を前編(手続き編)と後編(得情報編)に分けてご紹介します。今回は、後編として、共働き夫婦のためのちょっとおトクな確定申告情報について解説します。
【前編】手続き編~確定申告の手続き概要

還付申告の定番、医療費控除のココがポイント!

医療費控除は、病気やケガで医者にかかったり、歯を治療したりした時など、多額の医療費を支払った場合に、そのうちの一定割合を所得から差し引いて税金の負担を減らすという趣旨で設けられた制度です。医療費控除額は以下の計算式で求められます。

医療費控除の計算方法「暮らしの税情報」(平成28年度版より)

医療費控除の計算方法「暮らしの税情報」(平成28年度版より)


■かかった医療費は、夫婦合算できる!
ここで注目すべき点は、医療費控除の対象となる人には、「生計を一にする配偶者その他親族」も含まれることです。これらの親族については、38万円を超える所得があっても差し支えないとされています。つまり、夫婦共働きの場合で、個別に医療費控除額を計算するのでなく、夫婦でかかった医療費を合算して、どちらか一方で申告することも可能です。

■10万円を超えていなくても医療費控除の申告はできる!
一般的に医療費控除は、保険金などで補てんされる金額を除いて10万円を超えないと受けられないと勘違いされていることが多いです。けれども、上の計算式を見てわかるように、その基準となる金額が、所得金額(年収ではありません)の5%になっていることに気付くはずです。例えば、所得金額が100万円の場合は、医療費から保険金などで補てんされる金額を差し引いた金額が、5万円を超えていれば、医療費控除の対象になるのです。

夫婦のいずれかの所得金額が200万円に満たない場合は、医療費控除が受けられるかどうか、再確認してみてください。
※医療費控除について詳しくは、「2人でできる医療費控除、超簡単管理術」をご覧ください!

■介護費用の一部も医療費控除の対象になる
医療費控除というと、医療関係の費用に限られるものと考えがちですが、介護保険における施設介護サービスや居宅介護サービスの対価の一部又は全部も医療費控除の対象になる場合があります。最近は、親と同居をし、生計を一にし、介護関係の費用を負担している子どもの世帯も増えていますので、確認してみてください。(国税庁「暮らしの税情報(医療費を支払ったとき)」)

■平成29から始まるセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)で還付の可能性が拡大!
平成29年から医療費控除の特例として、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が始まりました。

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は、健康診断や予防接種など、健康の維持増進や予防への取り組みを行っている個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己または自己と生計を一にする配偶者その他親族が、一定のスイッチOTC医薬品(かぜ薬、胃腸薬などで、医療用から転用された市販薬※厚生労働省が指定)を購入した場合、支払った合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(上限8万8千円)について、その年の所得金額から控除することができるというものです。

普段から健康管理に気をつけていて、調子が悪い時には、病院には行かないけれども、薬局でかぜ薬などの薬は購入するという人の場合は、セルフメディケーション税制の適用を受けることで、税金が戻ってくる可能性があります。

なお、セルフメディケーション税制の適用を受ける場合は、現行の医療費控除を受けることはできません(選択する必要があります)。また、実際に確定申告をする時期は、平成30年以降なので、注意が必要です。

共働き夫婦の子どもの扶養控除、夫と妻のどちら?

子どもの扶養
この子は、どちらの扶養にすれば税金が安くなるのかな?
確定申告をする人に子どもがいる場合には、一定の要件に当てはまれば、扶養控除を受けることができます。扶養控除の対象となる子どもの条件として、次のとおりです。
(1)その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の者(「一般の控除対象扶養親族」といい、控除額は38万円)。
(2)控除対象扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の者(「特定扶養親族」といい、控除額は63万円)。

共働き夫婦のように同じ世帯に所得のある者が2人以上いる場合に、その控除対象扶養親族、特定扶養親族をどの所得者の扶養親族とするかは、所得者の選択によるので、重複しない限り、いずれの所得者の扶養親族としても構いません。

所得税の金額は、所得の金額全額に対してかかるのではなく、所得の金額から、たとえば、基礎控除や配偶者控除、扶養控除などの各種の所得控除を差し引いた残りの所得(課税所得金額)に対し、税率を掛けて計算します。

所得税の税率は、5%から最高45%まで、所得が多くなるほど多くなった部分の税率が高くなっています。区分けは以下の通りです。

平成28年分所得税の税額表(暮らしと税の情報・平成28年度版より)

平成28年分所得税の税額表(暮らしと税の情報・平成28年度版より)


■子どもが1人の場合は?
従って、子どもが1人の場合は、夫婦のうち、高い税率が適用されている方に扶養控除を適用すると良いでしょう。既に年末調整が済んでいて、扶養控除の適用を変えたい場合は、扶養控除を外す方は、確定申告で税金を追加納付し、扶養親族を追加する方は、確定申告で税金を還付して貰うことになります。

■子どもが複数の場合は?
子どもが複数いる場合は、上記の表を参考にしながら、夫(又は妻)のいずれか一方に扶養控除を計上した場合の所得金額と、夫と妻に分散して扶養控除を計上した場合の所得金額を計算してみて、どちらの方が2人の所得税額の合計が低くなるか計算してみてください。

最近は、夫よりも妻の方が給料の高い場合があります。子どもが生まれたら夫の方の扶養に入れるものと考えがちですが、夫婦で支払う所得税の金額について考慮することも必要かもしれません。

忙しい共働きのための「e-Tax」

e-Tax画面
自宅で確定申告ができる「e-Tax」。これからの普及が期待されます
還付申告で税金が戻ってくるとわかったけれど、なかなか税務署までは行けないという方には、国税申告・納税システム「e-Tax」の利用がおすすめです。

■国税電子申告・納税システム
「e-Tax」とは?

「e-Tax」(国税電子申告・納税システム)は、自宅やオフィス、税理士事務所からインターネットを利用して申告、申請・届出等ができる便利なシステムです。

●事前の準備
「e-Tax」を利用するためには準備が必要です。
(1)税務署宛、開始届出書の提出(インターネットでも届出可能です)
(2)パソコンとインターネットが利用できる環境
(3)電子署名用の電子証明書(電子証明書がICカードで発行される場合は、ICカードリーダライタ)
※マイナンバーに必要な本人確認書類は、電子証明書により本人確認が行えるため、提出等は不要になります。
※「e-Tax」利用のための準備については、国税庁HP「事前準備の流れ」をご参照ください。

●「e-Tax」のここが便利・おトク
・自宅で申告書の作成、申告・納税ができる
「e-Tax」では、税務署や金融機関に行かなくても、確定申告や納税ができます。平成29年1月16日から3月15日までは、土日祝日を含む全日、24時間(メンテナンス時間を除く)、システムが稼動して、申告・納税ができます。

・国税庁HPや「e-Tax」ソフトで申告書を作成、そのまま送信できる
必要な数字を入力するだけで、正しい税額・還付金が計算され、そのまま電子申告することで、手続きは完了します。何度でも書き換えられるし、電卓で計算する必要もありません。

・添付書類が提出不要に
所得税の確定申告を「e-Tax」で行う場合、医療費の領収書や源泉徴収票等の一定の第三者作成書類は、提出に代えて、記載内容を入力して送信できるようになりました(確定申告期限から3年間、添付書類の提出又は提示を求められることがあります)。

・還付金の手続きがスピーディ
「e-Tax」で申告された還付申告は早期処理しています(3週間程度に短縮)。1月・2月中に自宅や税理士事務所から「e-Tax」で申告した場合は、2~3週間程度で処理されます。申請内容をコンピュータでチェックできるので、通常の申告手続きより処理が早くなるのでしょう。

●「e-Tax」のここが不便
ガイド平野も、自分で試してみようということで、平成19年分の確定申告以降は、「e-Tax」による電子申告をしています。何事も同じでしょうが、「e-Tax」を使えるようになるための準備に時間がかかるので大変です。国税庁のHPでは、手順について詳しく解説されているのですが、いろいろソフトをインストールする必要があって手間と時間がかかります。パソコンの買い替えやOSの変更によって、同じ作業を繰り返す必要があるのもさらに面倒に感じます。

電子申告(所得税の申告)の利用率は、平成19年現在3%程度でした。平成22年には利用率を50%に延ばすことを国税庁では目標に掲げていました。実際は、平成23年度47.3%、平成24年度50.4%(50%を達成)、直近の平成27年度は52.1%で、順調に伸びています(財務省「平成27年度における e-Tax の利用状況等について(概要) 」より)。マイナンバー制度で導入された個人番号カードの普及にともない、「e-Tax」の利用率は、さらに伸びるのではないかと個人的には考えています。

なお、「e-Tax」の利用満足度は、平成27年度74.0%で比較的、高い水準にあります。また、電子申告はしないまでも、確定申告書等作成コーナーで、確定申告書を作成・印刷し、書類提出をする人を含めると、利用率は74.0%となっているそうで、意外に利用者が多いのだなと思いました。

税金の還付は得したのではなく、損しなかったということ!

確定申告は、正しい税金の金額を計算して、過不足を精算する手続きとも言えます。確定申告をして税金が還ってくると、ちょっと得した気分になります。けれども本当は、払いすぎていた税金を取り戻したということに過ぎないのです。そういった意味でも、正しい確定申告の知識を持つことは、「得するため」というよりはむしろ、「損しないため」にも必要であるといえます。

■共働きの確定申告、総チェック!【手続き編】先頭ページ
■共働きの確定申告、総チェック!【得情報編】先頭ページ

※詳しい確定申告の手続きや税金に関する相談は、お近くの税務署又は税理士にご相談ください。

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