大学時代の学費が抑えられる国立大学。といっても、今は私立との差が小さくなる傾向があります。学費だけでなく、学生生活費も含めて見てみましょう。
 

国立大学の授業料は一定の範囲内

かつて国立大学は国の組織の一部で、いわば国営でした。しかし、2004年度からは法人化され、国から独立した「国立大学法人」となりました。教職員も「みなし公務員」となっています。

国立大学の検定料・入学料・授業料は、国営時代は大学・学部にかかわらず一律でしたが、法人化後は国が定める範囲(標準額の上限+10%、下限なし)で大学が自由に決められるようになっています。

実際には、ほとんどの国立大学が標準額で設定しています。
 

国立大学の授業料等はいくら?

現在の検定料や入学料、授業料を見てみましょう。文部科学省が行った『国立大学の授業料、入学料及び検定料の調査結果について』によると、次のような結果となっています。調査結果は平成22年度までしか発表されていませんが、その後は変更されていません。

<検定料>
標準額と同額:86大学
標準額=大学学部(昼間):1万7000円、大学院:3万円

<入学料>
標準額と同額:86大学
標準額=大学学部(昼間)・大学院:28万2000円

<授業料>
標準額と同額:81大学
標準額=大学学部(昼間)・大学院:53万5800円


授業料を標準額より安くしている大学は次の通り。いずれも年額で1万5000円下げています。

・北海道教育大学 大学院(教職大学院を含む)
・北見工業大学 大学院(博士課程)
・千葉大学 大学院(博士課程)
・東京大学 大学院(博士課程)
・三重大学 大学院(博士課程)

このほか、特定の学部のみ学費が異なっている大学・学部もあります。
・東北大学 経済学研究科 会計専門職専攻 58万9300円 (+5万3500円)
・東京農工大学 技術経営研究科 技術リスクマネジメント専攻 57万2400円 (+3万6600円)

なお、国立大学を4年で卒業した場合に検定料・入学金・授業料を含めていくらかかるかというと、単純計算ですが、

検定料1万7000円+入学金28万2000円+授業料53万5800円×4年=244万2200円

主な学校納付金だけでこの額になります。

このほか、通学費や教科書、参考図書、学用品代、生活費などがかかります。
 

生活費はいくらかかる?

学校納付金以外にかかる生活費についても詳しく見てみましょう。

日本学生支援機構「学生生活調査結果(令和2年度・速報値)」によると、国立大学生の平均的な生活費は次の通りです。自宅通学と下宿・アパートに分けて見てみましょう。

<学生生活費の内訳(年間)>

●国立大学(自宅通学)
授業料       49万円
その他学校納付金    1万300円
修学費       5万100円
課外活動費       2万700円
通学費         6万1800円
食費          8万300円
保健衛生費       3万6600円
娯楽・嗜好費    11万3500円
その他の日常費     12万3800円
――――――――――――――――
          合計    98万7100円

●国立大学(下宿・アパート)
授業料      48万7700円
その他学校納付金    8900円
修学費        4万7000円
課外活動費      2万6900円
通学費             8500円
食費       28万8400円
住居・光熱費   53万400円
保健衛生費     4万200円
娯楽・嗜好費   13万6900円
その他の日常費    14万6900円
――――――――――――――――
           合計   172万1800円

このデータを使って4年間の学費を単純計算すると、次のようになります。

●国立大学(自宅通学)

4年間の学費・生活費
98万7100円×4年=394万8400円

検定料・入学金をプラス
394万8400円+検定料1万7000円+入学金28万2000円=424万7400円

●国立大学(下宿・アパート)

4年間の学費・生活費

172万1800円×4年=688万7200円

検定料・入学金をプラス
688万7200円+検定料1万7000円+入学金28万2000円=718万6200円

実際には、すべり止めとして受けた大学の検定料や入学金なども含まれる場合もあり、さらにプラスとなります。
 

国立大生がいる家庭の平均年収は?

参考までに、国立大学生(昼間部)のいる家庭の平均年収がどれくらいかについても見てみましょう。

日本学生支援機構「学生生活調査(令和2年度・速報値)」によると、国立大学生の親の平均年収は856万円です。

<大学生を持つ家庭の平均年収>
----------------------------------------------
国立……856万円
公立……725万円
私立……838万円
----------------------------------------------
(日本学生支援機構「学生生活調査
(令和2年度・速報値)」より)

本来、年収が低くても公平に入れるはずの国立大学ですが、その役割は今は公立大学が担っているようです。国立大学の年収は私立とほぼ変わらないことがわかります。

年収が低い層でも高い学費を負担して私立大学に通わざるを得ないことになり、いきおい親の負担が重くなる傾向が見られます。負担力で見た場合の「不公平」は是正されるべきだと思われます。

【参考コラム】
入学前にチェック!大学4年間にかかるお金
日本学生支援機構の給付型奨学金がスタート

【参考資料】
<集計表>令和2年度学生生活調査結果 大学昼間部(速報値)
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2021/09/24/data20sokuhou.pdf

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