こうしたアドバイス的な役割を果たすお年寄りを国または地方公共団体が雇うことにより、高齢者雇用の増大にもつながり、今後の高齢社会における高齢者層の社会的貢献意識の高まりを期待できる、各地方公共団体は今後の高齢者への年金問題に対する財政難を改善できる余地も見出せるのではないだろうか。
相談場所としては、市役所や生活センター、児童福祉施設、また時には老人ホームなどの公共施設の一角に子育て相談コーナーのようなものを作れば新たに施設を作る必要はなく施設建設費を節約できるだろうし、公共施設ならば誰でも気軽に足を運ぶことができると思う。ただ、この高齢者(子育てのアドバイス役)から「新米」両親へのアドバイスというのは、高齢者は特に何かの特別な資格をもっているわけでもなく、児童に関する専門的な勉強を積んでいるというわけではない。
だから、仕事とは言ってもボランティア的性格が強いため、報酬は必要以上に高くない方がよい。あまりに高い報酬が支払われてしまうと余計に地方公共団体の財政を圧迫してしまうからだ。そして何より「子供に健全に育ってほしい」「困っている親のために自分が何かしてあげたい」という、高齢者の好意によって行われる方が、より親身になって相談することができるようにするためである。必要以上に多くの賃金が発生してしまうと、お金を稼ぐためにやっている、生活のためにやる、という意識が高まってしまい、「心」がなくなってしまう可能性がある。
子供は金銭で育てるものではなく心で育てるものだ。愛情を持って正しく育てれば必ず心豊かで健やかな人間が育つはずである。
愛情を注がれない子供は、自分は必要のない人間なのだと思ってしまうし、自分は愛される価値のない人間なのだ、いなくなってしまえばいいんだ、という気持ちを抱いてしまう。自傷行為もひきこもりも、一見親や家族に対して反発・反抗の気持ちを表しているかのようだが、心の奥底では「自分をもっと見つめてほしい」「もっとかまってほしい」という気持ちからそのような行動に出てしまうのだが、残念ながら普通の人(ここでいう「普通」とは、自傷行為やひきこもりをしない人のこと。便宜上「普通」という言葉を使う)には理解しがたい行動であるだけに、精神科通いを余儀なくされているだけなのだ。
そのような子供は言いたいことをうまく言葉で表現できないだけで、普通の子供と全く変わりはないのだ。よって、家庭教育においては、子供にとって親の愛情がどれだけ大切なものか理解し、愛情を注がれなかった子供に起こる発育上の弊害がどれほど大きいものか理解できるはずだ。
(完)
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