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子育て@コラム ケンちゃんの卒論(2ページ目)

大学生・ケンちゃんがまとめた卒論のテーマは「家庭教育の失敗における子どもの精神病理」。彼の親世代に近い私は、このタイトルにドキッとしてしまいました。

豊田 眞弓

執筆者:豊田 眞弓

教育費 ・ 奨学金ガイド

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●結論部分の抜粋です・・・

全文は紹介できませんので、結論部分のみ紹介します。
**全文を読んでみたい方、ケンちゃん(現在、合格した大学院を蹴って、就職活動をするため、5年生をしています)に会って「子どもの立場」に近い彼のハナシを聞いてみたい、という方はご一報ください。

<終章>

(家庭で起こっている子供の精神障害の代表例として1,2章に載せた自傷行為とひきこもりがあって、それがなぜ起こるのかというと3章で述べる人格障害があります。ではその人格障害がなぜ起こるのかというと、4章で述べる母子関係の歪みが原因となっています。要するに子供がそのような精神障害を引き起こす根底にあるのは母子関係の歪みなんです。それらを踏まえた結論が以下の文章です)

 親たちの子供たちへの接し方の間違いが、さまざまな形で子供たちを苦しめている。親は自分の思うままに子供を操り、自分のいう通りに生きていく子供を「いい子供」として認識してしまう。しかし子供の立場に立ってみれば、権力の強い母親に逆らうことが出来ず、また存在感の薄く頼りない父親に理想の父親像さえ見出すことが出来ない上に、母親からの圧迫から助けてもらうことも出来ない中で徐々に追い詰められ、自分を守るため、自分を生かすために必死で対応しているのだ。

 主に母子関係の不安定な家庭の子供に心の病気を抱える子供が多く、このような問題はアメリカで1960年ごろからはやりだしたと記述した。日本で問題になりだしたのはその後のことであったが、問題は表面化しなかったとしても、日本でもアメリカと同じ時期から潜在的には存在していたと考えられる。そうすると、なぜその時期から子供の精神病理が増えてきたのかということが理解できる。

 どういうことかというと、日本は戦後から始まる高度成長期に連れて戦前のような「父親は外で仕事をし、母親は家で家事仕事」というそれぞれの役割が崩れ始め、女性も社会で活躍できるという考え方が少しずつ社会に芽生え始めたのである。その最も日本が経済成長してきた1960年代には、それまでと違って女性も家の外で働くようになり、その結果、母親が子供と接する時間が奪われていった。

 昔の母親というのは、家事をするにも畑仕事をするにも、何をするにも子供を背中におぶり、子供は常に母親のぬくもりを感じることが出来た。子供を背中に抱えることにより子供は母親と同じ目線でものを見ることができ、家の外でのさまざまな環境の中でもコミュニケーションを取ることが可能であったのだ。そうすることで子供は一身にその愛を受け、十分に愛を感じながら成長していくことができた。

 そのように愛情をたっぷり注がれて育ってきた子供というのは、思春期になっても非常に大らかな性格を持ち、両親を尊敬し、また大切にしていくものだ。物事も柔軟に考えることができるし、乳児から幼児期にかけてすでに十分に母親とのコミュニケーションをとり、あらゆる日常が教育現場という環境の中で過ごしてきているため、小学校・中学校に入ってからも対人関係を円滑に進めることが出来るし、物事の善し悪し、つまり正しい倫理観を持った健全な人間として成長を遂げることが出来る。

 だが、現代のように女性の社会進出の目覚しい社会では、朝早くから子供を保育園や幼稚園に預け、夕方引取りに行って、子供と過ごす時間が極めて短い家族が増えてきている。中には経済的事情によりやむを得ず働きに出なければならないという人もいるであろうし、何も女性の社会進出が悪いといっているのではない。むしろ私は女性が社会に出て活躍するのは素晴らしいことだと考えている。ただ子供に降り注ぐ影響を考えたときに、そのような状況が子供の成長にとってプラスの影響を及ぼすかというと、答えは明らかに「ノー」なのである。
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