お年玉の使い方
お年玉の季節がやってきました。今シーズンは、いただいたお年玉をわが子がどう使うかに注目してみませんか? その使い方に子どもの未来が見えるとしたら、気になりますよね。
お年玉で金銭教育
12月後半になると、わが家ではきれいなお札を集め始めます。それはお年玉の準備のため。親戚の人数が多いので、お年玉の予算をとって準備しておく必要があるほどです。こうしたお年玉が、子どもたちへの金銭教育の良いきっかけになってほしいものです。お年玉の使い方にクセが表れる!
お年玉の使い方に「正解」はないと思っています。使って満足する体験も大事ですし、将来の教育費として取っておくことも大事でしょう。あるいは、お金の管理能力を高めるために、一定額を年間のおこづかいとして渡し、上手に使うのを見守るのも一法です。どんな使い方でも、それは決して「間違い」ではないのです。
ただ、限られたお金を上手に使うことで、いろいろな可能性が広がることは伝えていきたいもの。目先の「ほしいもの」で使ってしまって、気づいたらいつもお年玉が消えているというタイプの子は、大人になったときに家計の赤字体質で悩むことになるかもしれません。無限の可能性を、ちょっとした習慣で閉じてしまうのは残念なことですよね。
お年玉は金銭教育のチャンス!
「お年玉くらい子どもに好きなように使わせてあげたらいいのでは?」と言う方もいます。でも実は、お年玉をもらったときこそ、子どものお金の使い方のクセを見抜いて改善していく、かっこうの金銭教育のタイミングでもあるのです。少し大げさに言うと、子どものときのお年玉の使い方が、大人になってからの「マネー力」に大きく影響する可能性すらあるのです。
今シーズンは、わが子のお年玉の使い方をウォッチしてみてはいかがでしょう。
お金をうまくコントロールしてお金に困らない大人になるか、コントロールが苦手で「お金がない」と悩み続ける大人になるか、お年玉の使い方を見て、問題がありそうなときに改善を図っていきやすいのも、小中学生のうちです。
ただし、親が使い方に口を出したり、強制しては意味がありません。あくまでも「自由に使える」という中で、どう使うのかを見守り、問題がありそうなときはきちんと説明をすることが大事です。親自身のお金の付き合い方や、お金に対する哲学も問われることになりますね。
お年玉の使い方で占う子どもの未来
では、お年玉で将来の可能性を広げる使い方をした子の例を見ていきましょう。すでに大人になっていますが、いずれもほぼ実例です(一部を変えている場合もあります)。■A子さんのケース
親御さんは、小学生時代はおこづかいを与えない主義でした。そのため、お年玉や親戚からのおこづかいで1年間やりくりするクセがついたA子さん。おこづかい帳も小学校高学年からつけ始めていたため、大人になってからの家計簿も自然に続いています。
家計管理は親よりも上手で、20代にして「しっかり者」といわれるほどになりました。
■Bくんのケース
親に自分名義の銀行口座を作ってもらって、お年玉はもちろん、日ごろのおこづかいをコツコツ貯蓄したBくん。その後、親も驚く貯蓄の達人となっていきました。大学時代はアルバイトから半分を貯め、社会に出てからも貯蓄のペースを維持した結果、貯蓄額は20代で1000万円を突破!
結婚を機に、それを頭金にして、早々にマンションを購入しました。繰上返済にもいそしみ、10年もかからずに完済しそうな勢いで返しています。
■C子さんのケース
幼いころから世界の貧困問題などに興味を持ち、お年玉も一部をユニセフなどに寄付をしていたC子さん。その後、大学は返還義務のない奨学金をもらって卒業しました。
2年働いた後に青年海外協力隊に入り、その後、アメリカでMBAを取得するため留学中。目下、社会貢献と起業をむすびつける社会投資に興味を持って研究しています。
■Dくんのケース
お年玉をもっと増やしたいと考えた、当時小学校4年生だったDくんは、証券会社に「株を下さい」と1人で買いに行ったそうです。当時はネット証券もなく、子ども名義の証券口座も開けなかった時代で、それからは新聞の株価を見ながら赤ペンを引く日々。
証券口座が開けるようになった高校時代から本格的に株の売買を始め、増やした資金で高校卒業後の学費を自分でまかなって進学したそうです。その後、起業家になったそうです。
使い方に問題アリの場合は……
反対に、こんな場合は問題アリです。- もらったお年玉をすぐにあるだけ使ってしまう。
- 買ったものもすぐに飽きてデッドストック状態に。
- お年玉を使い切って「足りない」と文句を言う。感謝の気持ちゼロ。
そんな症状が見られたときは、お金とは何なのか、なぜ大事に使わないといけないのかを、しっかりと親自身の言葉で説明しましょう。
大事なことは、親が過剰にコントロールしているうちは、本当のクセは見えないということです。難しいことですが、子どもたち自身が、自然に意味のある使い方や貯め方をしたいと思うようになることが大事ですね。
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