●家を買うと、一緒に借金もついてくる
家を買うときには、ほとんどの人が住宅ローンを借ります。住宅は何千万円もする買い物なので、とても手持ちの現金では払いきれず、足りない分を銀行などの金融機関から借りるのです。「足りない分」といっても住宅価格の大部分は住宅ローンでまかなうのが普通なので、千万円単位の金額になるケースが多くなります。借金なんて車のローンくらいという人が多いでしょうから、いきなり人生最大の借金を背負うことになるわけです。借りたお金は返さなければならないので、月々少しずつ、場合によってはボーナス月には多めに、数十年にわたって返済していくことになります。
●住宅ローンと家賃はなにが違う?
数千万円の借金をするとなると相当の覚悟がいると思われるかもしれませんが、べつに家を買わず賃貸住宅に暮らしていても月々の家賃を払うわけですから、それほどオオゴトではないともいえます。今なら住宅ローンの金利がかなり低くなっているので、同じような住宅を賃貸で借りて家賃を払うより、買って住宅ローンを返していったほうが月々の支払いが少なくて済むというケースも珍しくありません。では住宅ローンと家賃とはなにが違うのでしょうか?
まず、家賃は大家による住居提供サービスへの対価なので、いくら払い続けてもその家が自分のものになるわけではありません。転居するときには、入居時に払った敷金が戻ってくるだけです。これに対し、住宅ローンは「自分の家」を手に入れるために支払うものです。契約を交わしてカギを受け取ればその家は自分のものとなり、住宅ローンを払い終われば銀行に差し押さえられる心配もなくなります。
ただし、賃貸住宅は自分のものではない分、支払いが苦しくなったらもっと安い家賃の家に引っ越せばよいという気楽さがあります。一方、住宅ローンの場合はそう簡単にはいきません。引っ越そうと思ったら今の家を売らなければならない場合がほとんどでしょう。希望どおりの値段で売れればまだしも、買ったときより大きく値下がりしていて、借りている住宅ローンより低い額でしか売れないというケースもあり得ます。バブル崩壊後は住宅価格の値下がりが続いているので、家を買うときには住宅ローンの負担があまり重くならないような資金計画を立てる必要があるのです。