30年返済なら安心度は長期固定に軍配
10年固定と長期固定、どちらがお得なの?と迷ったら具体的な数字で検証しましょう |
これから金利が上昇する、という時期の金利タイプ選びとしては、3年固定や5年固定は、資金余裕度が高い人や、借入額が少ない人以外はリスクが大きいと考えられます。その点、10年固定なら、固定期間が10年あり、その間に繰上返済を行って元金を少なくしたりなど、11年目以降に備えて準備する期間も十分あると言えます。
それでは、将来の金利がどのくらいであれば、10年固定の方が得になるのか、検証してみましょう。下記は、借入額3,000万円、30年返済(ボーナス返済なし)の場合、将来の金利によって、毎回返済額と総返済額がどう変わるかを試算したものです。
・30年全期間固定の金利 2.5%
・10年固定の金利 当初10年間1.8%、11年目以降店頭金利から‐1.3%
全期間固定と10年固定を比較すると、当初の毎回返済額は1万円以上も10年固定の方が安くなります。これだけ違うと、10年固定はかなり魅力的ですね。しかし、10年固定の返済額は11年目以降の金利によって変わってきます。店頭金利が4%(適用金利は2.7%)なら、10年固定の方が毎月返済額も安く、総返済額でも約157万円も少なくなります。4.5%になると毎月返済額は10年固定の方が高めに。総返済額は若干10年固定の方が高くなりますが、全期間固定とほぼ同水準。店頭金利が5.0%になると傾向は一変します。毎回返済額も1万円近く高くなり、総返済額でも100万円以上多くなってしまいます。
上記の金利例での比較の場合、将来の金利が4.5%程度で、ほぼ同じような総返済額になると考えられます。将来の金利水準がそれより低いと予想するのであれば、10年固定を、それより高いと予想するのであれば長期固定が良いでしょう。過去の金利を参考にするならば、平均的な金利水準は4~4.5%程度。この水準だと仮定すれば、長期固定でも大きな損ではなさそうです。もう少し金利が高めに推移した時のことも考慮すると、長期固定の方が安心度は高いのではないでしょうか。
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この比較は、30年返済のものでした。返済期間が短くなると傾向が少し変わってきます。20年返済の場合を次のページで見てみましょう。