「今の仕事に役に立つ知識やスキルを身に付けたい」「将来の仕事やキャリアアップを目指したい」「転職を少しでも有利にしたい」など、自己啓発に関心を持つ20代から30代のビジネスパーソンは多いことでしょう。いったい、自己啓発に取り組んでいる人はどのくらいいるのか、皆どのくらいのお金をかけているのか、は気になるところですね。
厚生労働省の調査によると、自己啓発を行っている人の割合は、20代が46.6%、30代で48.4%、40代は39.5%となっています。20代、30代の比較的若いビジネスパーソンは積極的に自己啓発に取り組んでいることがうかがえます。
では、どのくらいのお金をかけているのでしょうか? 「1千円未満」と「1千円以上1万円未満」を合わせた「1万円未満」の割合は、20代が62.8%、30代で53.0%、40代は54.9%。全体的に見ると、あまりお金をかけていないといえます。その一方で、5万円以上の費用をかけている人は、どの年代でも1割以上いるので、お金をかけている人はしっかりかけている、ということがわかります(金額はいずれも年額です)。
「平成27年度能力開発基本調査」(厚生労働省)よりグラフ作成
次に、どのような自己啓発に取り組んでいるのかを見てみましょう。
調査結果を大まかにまとめると、書籍やネットを含むメディアによる「自学・自習」が5割、社内外の「勉強会・研究会」が3割、「通信教育」「講習会・セミナー」がそれぞれ2割です。お金をかけずに、書籍やメディアを通して、自身の関心がある分野の知識を習得する「自学・自習」が、自己啓発の一般的な方法といえます。
「勉強会・研究会」は、一人ではなく、他者とコミュニケーションを取りながら学ぶスタイル。専修・各種学校、大学・大学院に通うような、本格的な学び直しを選択する人はまだ少数派のようです。
「平成27年度能力開発基本調査」(厚生労働省)よりグラフ作成
自己啓発を行う際に、問題になっていることは何でしょうか?
大まかに見ると、仕事や家事・育児などで、という「時間的問題」が6割弱、「金銭的問題」が3割、目指すキャリアや最適なコースがわからないなど、「キャリア選択と手段の問題」が2割、自己啓発を行った後の評価や効果など「自己啓発の結果に関するもの」が2割弱となっています。
「平成27年度能力開発基本調査」(厚生労働省)よりグラフ作成
「キャリア選択と手段」と「自己啓発の結果」は相互に関連しています。目指すべきキャリアの方向性が定まっていないから、適切な自己啓発の手段がうまく選べず、さらに、自己啓発を行っても社内で必要とされるスキルを身に付けられないので評価されない。評価されなければ自己啓発の効果そのものに疑問を感じてしまう……という、悪循環に陥ってしまう場合もあるのでしょう。そうならないためには、適切な自己啓発選択の手順を踏む必要があります。
自分に合った自己啓発の方法が見つかったら、次に「時間」と「お金」の確保を行います。時間を確保するためには会社や家庭内での協力が必要ですが、なかなかうまく行かないこともあるでしょう。その場合は、通勤や移動中などのスキマ時間を活用したり、今まで無駄に過ごしていた時間を見直したりして、自己啓発のための時間を創出します。
自己啓発のためのお金の確保は、時間の確保の方法と同じです。浪費していたお金を節約することで、自己啓発に充てるためのお金を創出します。大きな資格に挑戦したり、専修・各種学校、大学・大学院に通うような、本格的な学び直しをしたりする場合には、まとまったお金が必要になります。
時間と違って、お金は貯めることができるので、まとまったお金を用意するには計画的に貯蓄をすることが大切です。そのためにはライフプランを作ることをおすすめします。
ライフプランを考える過程で、「将来自分は、会社でどのくらいのポジションにいて、どのくらいの収入を貰いたいのか」「そのために資格取得にチャレンジしたいけど、子どもが小さいうちは難しいな」「だったら、いつ資格取得するか、そのためにいくらお金をかけようか?」「どのくらいのペースで貯金をしたら良いか」など、ライフプランとキャリアプランを同時並行に考えることができるようになります。
ライフプランを作る過程で、キャリアプランを実現するために必要なお金の準備状況を確認できたり、自分と家族の年齢から考えて、いまキャリアアップにどのくらいの時間をかけられるか、などを具体的にイメージできるようになります。また、キャリアプランの実現によって得られる収入の変化が、ライフプランを実現する上で大切な要素であることにも気づけます。そう考えていけば、キャリアプラン実現のためのモチベーションも上がっていくのです。
このように進めることができれば、理想のキャリアプランに対する意識づけや、資金的な裏付け、勉強時間の確保もしやすくなりますから、実現性はより高まっていくことでしょう。
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