療養食・食事療法/消化不良・便秘・下痢など消化器系の療養食

大腸の切除術後の食事

大腸の切除術はクローン病、潰瘍性大腸炎大腸炎、大腸がんなどの治療の一環として行われることがあります。手術後は消化のよい食事であれば、一般的に特別な食事は必要ありませんが、何らかの不調がある場合は食事での対応が必要なこともあります。今回は、消化のよい食事、トラブルが出た場合の食事療法を紹介します。

一政 晶子

執筆者:一政 晶子

管理栄養士・米国登録栄養士(RD) / 栄養管理・療養食ガイド

大腸の切除術はクローン病、潰瘍性大腸炎大腸炎、大腸がんなどの治療で行われることがあります。病院の方針・個人の症状に合わせ、手術の数日後に流動食から開始し、消化のよい軟らかい食事へと進めるのが一般的です。早いうちに普通の食事がとれるようになりますが、極端に食物繊維が多い食事や刺激の多い食事は少し注意を払う必要があります。今回は手術後の食事、また退院後に見られることがある便秘、下痢・頻繁な便、お腹の張り・ガスの対応法を紹介します。

手術後すぐの食事

大腸切除術後の入院が数週間に渡る場合は入院している病院で食事管理ができますが、すぐに退院する場合は自宅での食事内容を少し工夫する必要があります。基本的に軟らかくて消化のよいものならOKです。生の野菜や果物、こってりしたもの、辛いもの、食物繊維が特に多いものは、少しの間避けましょう。普通に1日に3食でもよいですが、食事の量を少なめにして頻繁に食べたほうがガスを緩和できると考えられています。

食べ物

個人によっ食べ物への反応は異なります。食べ物との相性をよく観察して下さい。

消化のよい食べ物
果物は缶詰、又は火を通したもの(バナナ、アボカドは生でOK)
野菜も火を通したもの
軟らかい肉や魚、卵
牛乳、ヨーグルト、チーズ
イモ類、豆類
白米、麺類、白パン、ライ麦パンなど(雑穀の塊りがないもの)
アイスクリーム、シャーベット、プリンなど

下痢の対応法

下痢の原因となる可能性があると報告されている食べ物
ビール、赤ワイン、ブロッコリー、チョコレート、豆、大量のコーヒー、プルーンジュース、ほうれん草、ナッツ類などがあります。下痢が続く場合はこれらの食品が原因となっていないか確認してみましょう。

下痢・便の頻度が改善すると考えられている食べ物
バナナ、ごはん、パン、麺、じゃがいも、ピーナツバター、タピオカ、ヨーグルトなどシンプルな食材です。下痢が続くと脱水症状に陥ることがあるので、水やスポーツ飲料など十分に摂取する必要があります。これらの食材で下痢や便の回数を改善できるかもしれませんが、栄養素が不足する可能性があるのでサプリメントや機能性食品の追加なども検討する必要もあるでしょう。

お腹の張り・ガスの対応法

ガスの原因になる可能性がある食べ物
リンゴ、バナナ、豆、キャベツ、にんじん、セロリー、ベーグル、かんきつ類、なすび、レタス、牛乳、乳製品、玉ねぎ、じゃがいも、レーズン、プルーンジュース、高脂肪食品などがあります。個人によって食べ物との相性は異なりますがチェックしてみましょう。

便秘の対処法

便秘は長引く前に対処しましょう。対処法としては、水分の十分な摂取、適度な運動(徒歩など)、十分な食物繊維の摂取(食事・サプリメント)などがあります。

便秘や下痢が改善されないと深刻な症状に陥ることもあります。食事と薬による管理が必要な場合もあります。何らかのトラブルのある場合は必ず掛かり付けの医師や管理栄養士に相談して下さい。
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