1.CFDとは?
2.CFDの3つの魅力
3.CFDの配当
4.CFDにかかる税金
5.CFDの取引業者
6.CFDのリスク
CFD(差金決済取引)とは?CFDの基礎知識とリスクなど
CFDという言葉、株やFXをやる方なら聞いたことがあると思います。今回はCFDの基礎知識と魅力、リスクなどをご説明したいと思います。まず、CFDとはContract For Differenceの頭文字をとった略語で、日本語に訳すと差金決済取引となります。イメージを掴むために、簡単な例えを出しますと、FXのなんでも版です。逆に言えば、FXはCFDの中の通貨に絞った金融商品とも言えます。CFDでは世界の株価指数や個別銘柄、金や原油などの商品や債券まで、多様な資産クラスをカバーする、場合によっては約1万種類以上(※)もの様々な投資対象にレバレッジをかけて投資をすることができます。
※取り扱い業者によってカバーしているCFDの種類は異なります
日本ではまだ新しいCFDですが、イギリスでは1990年代前半に、アメリカでは1997年にスタートしているもので、イギリスではなんと全金融市場のシェア30%を占めるという非常にメジャーな金融商品なのです。金融先進国のイギリスでこれだけのシェアを占めるということは、いかに便利で、取引をする人が多いということを容易に想像できます。ではCFDの魅力とはいったい何なのでしょうか?
CFDの3つの魅力・レバレッジ、ショート、24時間取引
CFDの魅力としては次の3つが挙げられます。1、様々な投資対象にレバレッジをかけた取引が可能になる
株や株価指数、商品、債券など、約1万種類以上にも及ぶ投資対象に(業者によって取り扱い銘柄が異なります)、少額の資金を元手に、その数倍~数十倍で投資をすることが可能です(2011年のレバレッジ規制後、日本のCFD取り扱い業者では株式は5倍、株価指数は10倍、商品は20倍、バラエティ(VIX指数等)は5倍、債券は50倍のレバレッジとなっています)。もちろん、これは諸刃の剣で下手をするとやけどを負いますが、うまく活用すると少ない資金で多額の利益を獲得することが可能になります。
CFDは差金決済ですので、実物の受け渡しを行わない取引です。100万円分の取引をする場合、通常なら100万円を用意して、実物と交換する必要があります。しかし、CFDの場合は、その何分の1、何十分の1の資金さえ用意すれば取引ができますので、これまで最低投資金額が高すぎて投資できなかったものにも少額から投資が出来るようになるわけです。
レバレッジについての詳しい解説は記事『レバレッジ効果とは?意味や計算式をわかりやすく解説』をご覧ください
2、ショート(売り)から始められる
通常の株式取引の場合、株を買うことはできても、最初から売り(いわゆるカラ売り)となると、プロ投資家専用市場のようなところがあって敷居が高かったかと思います。しかしCFDの場合はいろいろなものに対して、簡単に売り(ショート)から入ることができます。たとえば、ニューヨークダウが下がると予想したとします。このとき、現在の価格で「売り(ショート)」を入れるわけです。結果、予想どおりに下落した場合にそこで決済します。ここで売りを入れたときと、決済したときの下がり幅が利益となるわけです。むろん、反対に上昇した場合は損失になってしまいます。
空売りについての詳しい解説は記事『空売りとは何か?やり方や仕組みをわかりやすく解説』をご覧ください
3、24時間取引ができる
会社員の場合、日本株を買おうと思っても取引時間は就業時間中であることが多くてパソコンにつきっきりになっての取引はなかなか難しいと思います。しかし、世界中にはかならずその時間に開いているマーケットがあります。たとえば、日本は夜中でもアメリカではお昼ということがあるわけです。したがって、リアルタイムで取引可能な市場と向き合えるのがCFDの大きな特徴の1つです。
CFDの配当(CFDでは配当相当額がもらえます)
CFDで買い建玉を保有している場合、保有している銘柄に配当があれば配当相当額を受け取ることができます。当然ながら配当相当額は取引金額に応じて算出されますので、配当相当額にもレバレッジがかかります。取引金額は証拠金から比較すると数倍にもなるために、証拠金から見た配当相当額はかなり高い利回りとなるケースがあります。なお、売建玉を保有の場合は配当相当額を支払うことになります。これは個別株だけでなく、株価指数CFDで買い建玉を保有していた場合も一緒で株価指数の構成銘柄に配当があれば、配当相当額が付与されます(ただ、ドイツのDAXは配当込みの指数であるため配当相当額が発生しない、株価指数CFDは配当相当額が発生しますが株価指数先物CFDでは配当相当額は発生しないなど、一部の例外はありますので、予め取引業者にご確認下さい)。
もちろん、配当が出た場合は、その銘柄や指数は配当分だけ価値が減じられて取引されますので(いわゆる「配当落ち」)、配当相当額分、保有ポジションの価値が下がることになりますから通算では損得ゼロとなりますが、企業が成長を続け、利益を出し続けることを前提とすれば、株価は再び回復していく傾向があるため(株価水準の上下動があるので必ずしもそうとは言えませんが理論的な傾向として)、上手にポジションを調整して、毎年高い配当利回りを得るのを目指すこともできます。
CFDの税金(20万円以上の利益が出た場合は確定申告をする必要がある)
CFDで利益が出た場合ですが、2012年1月1日以降の決済分より、くりっく365や日経225先物取引などの市場デリバティブ取引と一本化され、「先物取引による雑所得等」として一律20.315%(所得税15%+復興特別所得税 0.315%+住民税5%)の申告分離課税へと変更となりました。税率は株式投資やFXと一緒になります。ただし、株式投資と異なり、CFDでは特定口座(源泉徴収口座)を開設することは出来ませんので源泉徴収してもらえません(特定口座や源泉徴収制度は上場株式等(信用取引含む)に限定されています)。
このため、20万円以上の利益が出た場合は自分で確定申告をしなくてはなりません(給与所得者で会社が年末調整をしている方で給与収入が年間2000万円を超えない方は20万円以下の利益である場合は申告が免除となります)。ここで言う利益というのは手数料などを差し引き後の売買で得られた利益から必要経費を差し引いたものとなります。必要経費にはCFD関連書籍やCFD関連のセミナー受講代などが含まれます。
なお、CFDは株式取引の利益や損失とは損益通算できませんが、FXや先物、オプション取引とは損益通算が可能となります。
CFDの取引業者について
2011年のレバレッジ規制後、CFDから撤退する取引業者が増え、取引業者数自体は以前と比べると少なくなっています。そして取り扱い銘柄や取引方法、手数料と取引業者によって大きく異なっていますので、取引業者をきちんと選定した上で決める必要があります。数多くの取扱銘柄のある業者であれば、海外の大手金融機関が日本でグループ会社を作って、CFD事業を展開するところを検討してみましょう。たとえば、IG証券はイギリスのロンドンに本拠地を構え40年以上の歴史を持つ金融サービスプロバイダー、IGグループのグループ企業です。IGグループはCFDにおいては収益ベースで世界No.1であり、取り扱い銘柄数も1万銘柄以上と圧倒的です。また、デンマーク・コペンハーゲンに本拠を置く投資銀行サクソバンクのグループ会社がサクソバンク証券で同社も5000を超える銘柄の取引が可能です(アドバンスコースの場合)。日本の企業ではGMOクリック証券が比較的取扱銘柄が多い業者となっています。
また、日本株やFXで利用している、馴染みの金融機関でCFDを取引したい方もいると思います。その場合には「くりっく株365」を検討しましょう。「くりっく株365」はCFDと同じような仕組みの株価指数を原資産とした証拠金取引で、東京金融取引所に上場する株価指数証拠金取引です。ここまでに書いたCFD業者での取引は、厳密には店頭取引であり、取引可能時間や取引価格は同じ銘柄を扱う場合でも業者によって異なります。一方、東京金融取引所に上場する株価指数証拠金取引の「くりっく株365」は取引時間が決まっており、複数のマーケットメイカーにより提示された価格の中で、最も投資家に有利な価格を提供する仕組みとなっています。
「くりっく株365」ですと、SBI証券やマネックス証券、カブドットコム証券といったおなじみの証券会社が取り扱い業者となっており、そちらを利用するのもよいかと思います。
CFDのリスクについて
もちろんCFDはメリットばかりではありません。反対のCFDのリスクについて触れておきましょう。ここまでに書いてきた話を読んでいくと、すぐにでも大金を儲けられそうな錯覚に陥るかもしれませんが、世の中そんなにアマくはありません。特にCFDの場合、いくつかの注意点がありますので、そのあたりをきちんと把握しておかないと思わぬ火傷を負う可能性もあります。まず一番注意しなくてはいけないのは、レバレッジです。前述のようにレバレッジは上手に使えば非常に有用な取引方法ですが、仕組みをよく理解しないままに取引をすると、知らない間に実力の何倍もの取引をしてしまって予想以上の損失を被ってしまう、なんてことも起こらないとは限りません。
また、現物株ならじっと持っているだけで、いつかは回復するとか、ナンピン買いで買い下がっていく……というやり方も通用したかもしれませんが、高いレバレッジをかけている場合は命取りになる可能性もありますので、損切りをきちんとしていく必要もあります。また、価格が一時的に急落して、業者によって定められている証拠金維持率を一時的にでも維持出来なくなってしまうと強制的にロスカットされてしまうこともあります。したがって、まずはきちんとシステムを理解してから取引を始める必要があります。
参考:米国株通信
※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。
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