運転者家族限定特約の「家族」の範囲とは?
補償の範囲を限定する分、保険料は安くなる。ただし注意点も
友人や知人など、家族以外の第三者に車を運転してもらうことがないなら、保険料がお得になるというわけです。もちろんそうしたことが「まったくない」のと「あまりない」のは違いますから、その線引きは間違いないようにしなければなりません。たとえ車を動かしたのが1メートルだけでも、運転者家族限定特約で対象にならない人が運転すれば、保険金は支払われません。
運転者家族限定特約の「家族」の範囲とは下記のとおりです。
- 記名被保険者(主に車を使う人)
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
- 記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子(婚姻歴がない)
今回の事例では、父親の車を運転したTさんはすでに結婚・独立しています。そのため、自動車保険契約における運転者家族限定特約の「家族」には該当しないのです。
結婚や別居により、運転者家族限定特約の対象外となることも
自動車保険契約上の適用範囲にはルールがありますから、それを確認しておくことが重要です。今回の事例のように、契約上の適用範囲を確認せずに「補償されると思っていた」のでは大変なことになります。ほかにも注意しなければならないことがあります。加入時には運転者家族限定特約の範囲だったが、その後に条件が変わって範囲から外れるケースです。例えば以下のような場合です。
・別居の未婚の子であったが、結婚した
・結婚して同居でなくなった
・同居していたが、近くのマンションに部屋を借りて住み始めた
・同居していたが、近くに一戸建てを購入して別居になった
どのケースでも、状況が変わる前は運転者家族限定特約の適用範囲ですが、結婚や別居になることでこの対象から外れます。しかも自分から申告しないと、保険会社ではこうした状況の変化は把握できません。自動車保険の契約にこのような制限を設けるのであれば、自分で管理する意識が必要です。
最後に、運転者家族限定特約のように制限を設ける場合のポイントを確認しておきましょう。
・誰が車を運転するのか明確にする(ちょっとだけ、という考え方はしない)
・同居、別居、結婚など、家族の状況が変わったら自動車保険もチェックする
近年、自動車保険の保険料は上昇傾向にあります。一方、「夫婦限定特約」「本人限定特約」といった特約(割引)もあります(保険会社によって特約の名称や適用範囲は異なります)。こうした特約をうまく活用して無駄な補償を減らしつつ、必要な補償を確保してください。