保険を解約! 解約返戻金にかかる税金の確定申告方法
保険(生保・損保)を解約して解約返戻金を受け取ると税金がかかることがあります。実際に私たちが終身保険(一時払い含む)、個人年金、養老保険、積立傷害保険など貯蓄性のある保険を解約した場合、税金については所定の計算を行います。貯蓄タイプの保険は生損保問わず途中で解約すると元本割れすることが多いので注意が必要ですが、どのように税金(所得税・住民税)がかかるのかを知っておかなければなりません。確定申告と保険の解約をした場合における取り扱いについて解説していきましょう。
<解約返戻金の税金 目次>
解約返戻金は貯蓄性保険が対象(終身保険、個人年金、養老保険など)
保険を解約する際に考慮すべきなのは、解約返戻金がある保険です。一般的には掛け捨ての保険というよりも貯蓄性・資産性のある保険が該当します。生損保で分けてみると主に次のような保険商品です。
- 生命保険:終身保険、個人年金、養老保険、学資保険など
- 損害保険:年金払い積立傷害保険(損保年金)、積立火災保険、積立傷害保険など
保険の解約返戻金は「一時所得」として扱われる
生命保険や損害保険の解約返戻金等(満期返戻金も同様)は、一時所得として所得税の課税対象となります。このとき、一時所得の金額が20万円を超えるようであれば、確定申告をする必要があります。しかし、一時所得の計算では、特別控除(50万円)や1/2課税という措置があるため、税金の計算上、20万円を超えないことは珍しくありません。具体的に解約返戻金の一時所得の計算をみていきましょう。
保険を解約した際の一時所得の計算例
保険契約の解約がされたときの一時所得の計算は、次のようになります。{(その年の一時所得に係る総収入金額-支出した金額の合計額)-特別控除50万円(*)}×1/2=一時所得
*特別控除は他の一時所得と合算の上、年間50万円
解約返戻金の全額に税率を掛けるのではなく、実際に払い込んだ保険料をや特別控除を引いて、1/2にします。具体的に数字を入れてみましょう。
(例)解約返戻金200万円 正味払込保険料130万円
{(200万円-130万円)-50万円}×1/2=10万円<20万円
今の貯蓄タイプの保険の状況では、解約までの払込保険料が130万円で解約返戻金が200万円、などという保険はまずありません。仮にこの例のように70万円くらいの差額があってもこの程度である、というイメージを持ってください。
ちなみに、こうして保険(生保・損保)を解約した場合、もうひとつ頭に入れておかなければならない重要なことがあります。
払った人・受け取った人によっては、贈与税の対象に
解約返戻金の税金は、場合によっては贈与税の対象に!誰が保険料を支払って 誰が解約返戻金を受け取っているかの確認を。
- 誰が保険料を支払って
- 誰が解約返戻金を受け取っている
- 契約者は誰か?
- 実際の保険料の負担者は誰か?
- 解約返戻金の受取人は誰か?
しかし、例えば配偶者や親が保険料を支払い、その契約の解約返戻金を自分が受け取ったなら、贈与税などの課税対象になります。保険契約では、実際の保険料負担者を基準に考えますので、この点も忘れないようにしてください。つまり、必ずしも契約者=保険料負担者ではないということです。
保険の契約者は自分、解約して解約返戻金も自分が受け取った、けれども保険料は配偶者の口座から引き落とされているということであれば扱いが変わります。
生損保問わず支払調書の提出基準が改正されている
2018年1月1日移行、保険会社から税務署へ提出する支払調書の提出基準・記載内容に関する改正が実施されています。もともと支払調書の提出基準は次のようになっていました。- 1回の支払金額が100万円を超える保険金、解約返戻金を支払う場合
- 年間20万円以上の年金等を支払う場合
この改正の主旨は例えば、親が契約者で子どもを対象にした保険契約の保険料を支払っていたなどの場合、解約返戻金などは本来は親からの相続や贈与の扱いになります。
しかし契約の途中に契約者の変更があったりすると、これまでの支払調書の提出基準ではそれを把握することができませんでした。改正により誰がお金を支払い、誰が受け取ったかというお金の流れが把握しやすくなったのです。
積立保険の場合、今後はこうしたことも覚えておくようにしてください。
以上のように確定申告の際、保険の解約返戻金の基本は一時所得扱いですが、保険料の負担者と解約返戻金の受取人によって所得税ではなく、贈与税の課税対象になります。今後は保険負担者と契約者が違う、契約者変更(保険料負担者も変わる)などをする際には課税関係の取り扱いにも気をつけることが必要です。