損害保険/火災保険の基礎を学ぼう

価額協定保険特約と新価保険特約の違い(2ページ目)

火災保険の価額協定保険特約と新価保険特約。いずれも建物や家財を再調達価額(新品の価額)で評価・契約する特約ですが、違いもあります。新価保険特約では、罹災後2年以内に同じ場所で同じ目的・用途の建物を再築する必要があります。

平野 敦之

執筆者:平野 敦之

損害保険ガイド

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新価保険特約では罹災後2年以内に同じ条件の建物を再築する義務がある

価額協定保険特約と新価保険特約で最も大きく異なる点は、罹災(りさい)後の再築義務の有無です。

価額協定保険特約では、契約している金額を限度に実際の損害額を支払います。新価保険特約では、罹災後2年以内に同一構内に同一目的・用途の建物を再築する必要があります。こうした要件を満たして新価基準での保険金が支払われます。

細かい計算式は割愛しますが、罹災時点で時価をベースとした金額を支払い、再築時点で新価である再調達価額との差額が支払われるという流れになります。簡単にいうなら、「保険金を受け取るにあたってその使い道が限定されているか否か」ということになります。

価額協定保険特約と新価保険特約、どちらを利用する?

実際にこれらの特約を付帯する場合、建物であれば660平米を超える広さになると価額協定保険特約は使えないため、新価保険特約を使うことになります。とはいえ、一般的な住宅物件なら気にする必要のない広さでしょう。実際、通常の住宅建物は価額協定保険特約を使うケースがほとんどでした。

ただし、以前はすべての火災保険で価額協定保険特約は5年を超えて契約することができませんでした。

現在は少し変わってきていますが、住宅ローンとの関係で長期の火災保険を契約している場合には、どのような契約になっているのか確認しておきましょう。

近年、損保各社の独自の火災保険が販売の中心になっています。これらの火災保険は再調達価額を基準に契約するのが一般的です。かつて損保各社の共通商品であった住宅総合保険のように、特約をつけて再調達価額で協定するというものではありません。

再調達価額での契約が前提となっており、価額協定特約をわざわざ付帯する仕組みにはなっていない火災保険商品が主流で、時価額での契約はしません。併用住宅などの物件についても同様で、各社独自の火災保険に移行しているケースがほとんどです。

個人で住宅物件の火災保険を契約している場合、5年を超えるような契約で住宅総合保険などの場合には時価契約となっているので、火災保険を長期契約しているなら注意しておいてください。

※損害保険会社や火災保険の商品によって違いがある点はご留意ください。
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