■厚生年金基金加入者200万人(推定)に影響!?
会社が従業員に払う退職金は、全額が一時金であるとは限りません。会社によっては退職金の一部を10年の分割払いで年金払いしてくれるところもあります(亡くなるまで年金払いしてくれる場合もあります)。
年金払いのほうがお給料のように受け取れるため、従業員の老後の暮らしにとって利便性が高いからです。これを企業年金といいます。
厚生年金基金というのは、その企業年金のひとつ。大企業が独自に作っているもの(たとえばA社がA社厚生年金基金を作る)、グループ企業で作っているもの(B社グループを対象にBグループ厚生年金基金を作る)、業界団体などが作っているもの(C業協会などがC業厚生年金基金を作り、同業社が加入する)などがあります。
全国で約1700種類の厚生年金基金があり、およそ1,000万人の会社員が対象となっています。日本の会社員の人数が約3,200万人ですから、ほぼ3人に1人が厚生年金基金に加入している計算になります。あまりメジャーじゃないですが、実はかなり多くの人が対象となっている制度です。
企業年金には、ほかに「適格退職年金(税制適格年金、あるいは退職年金ともいう)」が有力で、これは中小企業を中心に全国に7万4,000社が採用しており、(グループや業界団体での設立はできない)、会社員の915万人が加入しています。
今回は、この「厚生年金基金が来年、50%カットされてしまうかもしれない?!」という話題です。しかも対象者は大企業中心だとしたら?
■厚生年金基金は「国の厚生年金の一部」+「会社独自の積立部分」
さて、厚生年金基金というと、「あれ、それって国の年金制度じゃないの?」という疑問を持つ人もいるのではないでしょうか?
「厚生年金」というのは、会社員が加入している国の年金の名前です。基本的に会社員は全員加入しています。毎月の給料の約17.35%も保険料として納めています(ただし、半分は別建てで会社が負担しています)。年金額は給料の額にもよりますが、普通の会社員であれば、夫婦で24万円/月くらいが65歳以上になると毎月もらえます(基礎年金含む)。
「厚生年金基金」というのは、この国の厚生年金とごっちゃになりやすいのですが、先ほど説明したとおり会社が独自に作る別の制度です。ただし、「国の厚生年金の一部」を国に納めず管理して支払っています。つまり、会社独自の企業年金の積立と支払いだけでなく、なぜか国の厚生年金の一部も引き受けているしくみ。