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年金未納で破綻はしないが、破綻する!?(3ページ目)

年金保険料を未納する人がいても制度が破綻しないことが明らかになりました。しかし、「信頼」が破綻したり、しわ寄せが起きるのは無視できません。ちょっと整理してみましょう。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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未納で破綻しないが、破綻する?

さて、最初の2ページで見てきたのは「1)未納で年金制度は破綻しない」「2)未納者は実際のところそれほど多いわけではない」という2点でした。しかし、それでも未納の存在が制度の破綻を招く可能性はあります。それは以下の2点によるものです。

A)生活保護等へのしわ寄せ
未納者は「保険料を納めない=将来年金をもらえない」関係がありますので、年金財政的には中立的ですが、個人的にはやはりそのツケがどこかに生じる可能性はあります。具体的にいえば、未納者は将来年金ももらえないし、個人的な貯蓄もないため、生活保護等を頼らざるを得なくなるおそれがあります。
憲法第25条に規定されているとおり、「国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む」権利があり、そのための制度のひとつが生活保護です。生活保護の財源は税金です。つまり、未納者の増加そのものは、年金財政に影響を及ぼさないとしても、国の他のコストに影響を及ぼす可能性があるわけです。

B)財政は破綻せずとも「信頼が破綻」
仮に財政的には年金制度が破綻しなくても、破綻するものがあります。それは「信頼」です。未納をする人、未納しない人、未納したくてもできない人、いろいろな人がいますが、少なくとも「未納はいいことだ」と思っている人はいないと思います。
今きちんと保険料を納めている人であっても「未納はずるい」「できるなら自分も未納したい」と思っている人は多いはずです。未納者は将来年金をもらえないから放っておいていいかというと、そうではありません。実は未納問題は制度への信頼をなくすウイルスのようなものだからです。本来、社会保障制度について、「私は払いたくないから払わない」という選択の自由は許すべきではありません。そうした制度の現状を看過してはいけないわけです。

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