小谷湯の滝、炭酸野湯、白馬アルカリ日本一　文化財の宿と天然湯の滝(2ページ目)

4 あつ湯温泉　　　熱泉荘（再訪）　　
純重曹泉　　つるつるやや強し

小谷温泉の山田旅館の近くには別源泉の熱湯温泉があり、熱泉荘に入浴した。ここの湯は良い。清澄な純重曹泉でつるつるの触感が強く入浴していると肌が「とろとろ」と滑り非常に良い感触である。高台にある宿で裏の熱湯沢が源泉である。透明であるが重曹の苦味がしっかりと分るものであった。宿は昔ながらの木造2階建てで熱泉荘と書いた左官コテ絵が渋い。古い造りでレトロな雰囲気が醸し出され温泉宿の原点のような情緒であった。コンクリートの簡素な浴槽で山田旅館とともにまさに温泉を楽しむのには絶好の宿である。58度の純重曹泉で透明、少塩味に重曹の苦味が残る、無臭と観察した。浴槽の廻りに大理石状の析出物が固まっていた。

5熱湯沢　湯の滝　　　　
川原毛大湯滝に匹敵する大迫力。湯は44度やや熱め、大湯量。

熱湯温泉の裏の熱湯沢は温泉が豊富に湧出し、あまりに湯量豊富なので驚くことに沢全体が適温の湯の川になっている。堰堤を越えて沢の核心部に行くと滝全体が湯煙に巻かれもうもうとした湯の滝があった。このような光景は見たことが無く一種神々しい感じを醸し出していた。湯は滝の断層から出ているが100度近い熱湯である、それが川にまざり44度強の熱い湯の川になっている。透明、少苦味、無臭の重曹泉であろう。湯気と断崖で大迫力である。治水工事をしているが水ではなく治水の対象が湯であった。深くなっている滝壷に入っているとやや高めの温泉が快適で素晴らしい、また流れ落ちる滝を打たせ湯にすると豪快である。全国的にもカムイワッカ湯の滝や山ん城温泉、尻焼温泉などとともに貴重なものである。日本にこんなところが残っていたとは凄いことである。

6 小谷温泉　　　大湯元山田旅館（再訪）　　泊
純重曹泉　文化財の宿

大湯元山田旅館は温泉が湯量豊富に掛け流され良いが建築もすばらしい。江戸時代の本館を初め大正3年の新館、浴室など7棟が国指定文化財に指定されている。木造3階の重厚な造りで縁側が廻り温泉宿の理想的なものである。玄関の框が立派で奥にある神棚や囲炉裏の部分は一種神々しい雰囲気を醸し出している。江戸末期の本館を筆頭に大正3年の新館と風呂棟、明治18年の土蔵などからなる。湯は純重曹泉であるが感触的には土類成分が含有されていると思える。重炭酸土類泉の表情を出している。透明、少苦味、無臭と観察した。文化財の浴場は打たせ湯によって47度の源泉を適温に下げている。長年の析出物が打たせの湯の流れに沿って太い柱のように析出している。市松模様の床は立派な意匠であった。

7小谷温泉露天風呂　（再訪）　
山田旅館と同系の温泉。木立の中の清々とした露天風呂。

小谷温泉には奥に露天風呂があり寸志で開放されている。広葉樹の林の中にあり森林浴の湯と命名したいほどの清々とした温泉である。山田旅館の湯よりも土類系成分が増えさらに重炭酸土類泉に近づいていた。掛け流しの湯量も多く同浴の人達も口々に流れていると感動の言葉を発していた。

8小谷温泉　　大田旅館　
　
山田旅館の隣の大田旅館は廃業していた。ご主人はいたので入浴させていただいた。コンクリートの素っ気無い浴槽に山田旅館と同系の湯が掛け流されていた。湯量豊富で裏手の炊事場でも源泉が多量に捨てられていた。山田旅館が買い取ったとのこと。　


9松葉の湯鉱泉　　　　源泉のみ　
炭酸泉の鉱泉。源泉垂れ流し

国道より小谷温泉に向かって曲がってすぐの黒倉集落に温泉があり松葉の湯といわれている。昔は温泉宿もあり入浴させていたそうであるが現在は源泉と朽ちて倒れた東屋のみである。源泉は石で祠のようになっており中から濃い炭酸泉が湧出していた。温度はなく鉱泉である。透明、炭酸味強し＋少塩味、金気臭＋炭酸臭多しのものであった。浴びてみると炭酸により更に冷たく感じた。

10 梶山新湯　　　雨飾温泉　　
重曹泉　　奇麗な宿

山奥の梶山新湯は未湯で残っていたので今回訪問した。根知川の最奥部にある温泉で海谷山塊の峨々たる山容を眺めながら高度を稼いで行く。土類や食塩を含む重曹泉で透明、重曹薬味、無臭であった。木造の浴槽の内湯と都忘れの湯なる石組みの露天風呂がある。内湯は熱すぎて一瞬しか入浴できないのでゆっくりと露天風呂に入った。古い造りの旧館の良い部分のみ残した改修で良い造りの温泉宿となっている。湯道には大理石状の析出物が溜まっている。