温泉/甲信越の温泉

小谷湯の滝、炭酸野湯、白馬アルカリ日本一 文化財の宿と天然湯の滝

湯量豊富な小谷温泉や白馬周辺をまわります。熱湯沢の野湯が豪快。白馬塩の道温泉は炭酸分や塩分が豊富。白馬八方は日本一のアルカリ度を誇っています。

執筆者:郡司 勇


小谷村周辺の温泉のレポートです湯量豊富な小谷温泉や白馬周辺の個性的温泉地をまわります。特に熱湯沢の野湯が豪快でした。また白馬塩の道温泉は炭酸分や塩分が豊富で久しぶりに訪問しましたが非常に良い湯でした。また白馬八方は日本一のアルカリ度を誇っています。

1 奉納温泉 (再訪)  
重曹食塩泉 総計8616 日本のチロル

長野県の最北部にある小谷村には、名湯小谷温泉を筆頭 にいくつかの温泉が湧出している。大糸線の白馬駅に下車し北に向かって行く。白馬駅周辺には白馬八方スキー場があり、また夏は大雪渓などの観光地なのでホテルやペンションが集まっている。そしてここにはPH11.3という日本一の高アルカリ性の白馬八方温泉や国内屈指の重曹を含有している塩の道温泉という2つの温泉に恵まれている良い地域である。しかし今回の目的は小谷村の温泉群である。まず中土駅の手前、下里瀬温泉の前から奉納(ブノウ)温泉に右折する。姫川の流れから山に向かって急勾配で高度を稼いで行くと斜面に点々と家が建ち日本のチロルと言われている風景となる。南アルプスのしらびそ峠周辺も同じような景観である。数年前までは茅葺き屋根であったろうが現在はその上にトタンを載せたものが多くなっている。かなりの急斜面を登り、こんなところに温泉があるのだろうかと思う頃に終点の奉納温泉に到着した。山小屋のような簡素な造りでバックには北アルプスの白馬岳、小蓮華岳などが見える美しい立地である。12年前の訪問以来の再訪であるが建築は全く変らずに残っていた。温泉は炭酸の効いた重曹食塩泉である。個性的なので記憶に鮮明に残っていた。さらに4キロほど山奥から引いている。モザイクタイル貼りの浴槽で湯口はたぬきの腹のような析出物が付着して炭酸を含む重曹泉の特徴を出している。浴槽の中も析出物でザラザラである。成分総計は8.6グラムという等張性の濃いもので透明ながらわずかに白濁し、しっかりとした甘い塩味で炭酸味が加わる。循環が残念である。浴槽横には源泉を流しているので飲泉してみるとわかる。弱いがつるつるした感触がある湯であった。

2 島温泉   島の湯旅館(再訪) 
鄙びた旅館  自噴  源泉洞窟探索 蛇がたくさんいた

姫川に沿って新潟県境に近いところには来馬温泉と島温泉が湧出している。あの大水害にも襲われずに健在である。しかし川に自然に流れ込む野湯の蒲原温泉や猫鳴温泉が無くなってしまったのは残念である。島温泉「島の湯旅館」は鄙びた小さな宿で好きなタイプである。以前は国道沿いであったが長野オリンピックに合わせてバイパスが完成したので静かな宿と なった。泉質は裏山の斜面から自噴する含食塩重曹泉でここも炭酸を748mgも含んでいる。小さな浴槽に掛け流しで使われているので炭酸分が体感できる貴重な温泉である。入浴したときにやや冷える体感がある。ここは源泉が37.4度というヌル湯なので冬はやや加熱してしまうため夏が良い。透明、炭酸重曹味、無臭と観察した。源泉を案内してもらった。横穴式の源泉で昭和12年に大糸線の工事の際その技師に掘ってもらったそうだ。入口の意匠は良い雰囲気である。まだ孔内の石積みはしっかりしていた。中は鍾乳洞のように析出物が蓄積し湯が自噴している、源泉の主であるのか蛇が三匹ほどいた。開業は大正15年であるのでこの源泉を造った昭和12年まで使っていた源泉も別に垂れ流されていた。

3 深山の湯      
来馬温泉と同じ温泉で、再掘削により以前よりずっとよい湯となった。

来馬温泉の風吹荘はあの大水害で源泉が崩壊し温泉が湧出しなくなっていたが、再掘削した。以前の湯は個性が少ないものであったが今回の新源泉は素晴らしいものであった。島温泉は自噴であるがその近くを掘削し更に濃厚な良い湯となったのは皮肉である。56.2度のNaCa-HCO3、Cl泉で総計3704mg緑色褐色に濁り渋味と炭酸味、金気味、重曹薬味のある複雑で含蓄のある湯であった。さらに金気臭がメインで湯口は硫黄臭が残る個性のある温泉で非常に気に入った。よく観察すると炭酸による体感清涼感もあることがわかりCO2の621.9mgもまだ含有されていのがわかり新鮮さを感じた。浴槽のまわりは褐色に染まり雰囲気も上々である。温泉センター系ながら良い湯であった。
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