口の永良部島と屋久島行きのレポートです。
鹿児島空港からのYS11の飛行は桜島や開聞岳を望みながら快適な空の旅である。屋久島空港には11:25に着いた。同行の森さんと石川さんが既に到着されていた。3人で屋久島、口永良部の温泉巡りの開始である。12:00宮之浦港に到着すると海が荒れて高波のため口永良部行きのフェリーは昨日に続き本日も欠航決定である。あきらめないで漁船チャーターのために上屋久漁協に行く。交渉成立しおおしけの海に小さな漁船で出た。2人は大丈夫であるが、私は10分と持たずに身体中の水分をすべて吐き出すこととなる。強烈な船酔いによって廃人のようになってしまう。島へ着くまでの1時間は無限に長い時間と感じられた。強いアルコール中毒のように前後不覚で車に乗換えて寝待温泉までの道も、美しい風景も目に入らなかった。あまりに強い船酔いは身体が痺れて動けないほどに気分が悪くなる。
1立岩海中温泉 足元の砂が暖かいのみ
屋久島へ来るのが費用的にたいへんであるのに、口の永良部島へは更にそこから1日1便のフェリーに乗らなくてはならないので、口永良部島の温泉に行くには最低2日間かかるという秘湯である。メインは寝待温泉であるがその海岸が絶景でラグビーボールのような岩が海中より突き出ている。「立岩」と言い遥か北の礼文島の桃岩に似ている。その足元に温泉が湧出しているとのことだが今回は波が高く水没している。意を決して入ると、水温は海とほとんど同じである。しかし砂の中に足を入れると暖かい。湯が湧出しているのだなあと確認出来ただけである。しかしユンボーで底をすくってあり、写真にしてみると快適な浴槽のように写る、背景が素晴らしいので写真写りの良い(フォトジェニックの)湯と言った感想の温泉である。
2寝待温泉 白濁、たまご味+酸味+弱塩味、硫黄臭
改築されて無味乾燥なコンクリートの共同湯となってしまった寝待温泉に来ることになってしまった。浴槽の真上に寝台があり湯治客が寝ているといった貴重な風俗は過去のものとなってしまった。むかし朝日グラフだったと思うが、「湯治の温泉」という写真で紹介されていて記憶に強いが福島の「志保の湯」の旧館や折木温泉若松屋など、今や無くなってしまった数々の貴重な温泉宿とともに回想してしまった。しかし浴槽はやや下がったレベルに海と同じ高さにあり白濁した食塩泉がたたえられていた。含硫黄土類食塩泉でPH3.0の酸性である。白濁(40センチ)たまご味+酸味+塩味、硫黄臭強しの良い温泉である。湯量があまり多くなくややヌル目なのが残念であるが酸味の強さが食塩味よりも際だっていたのが火山の温泉にきたようで嬉しい。浴槽は古いもので建築および床を改修したもので。浴槽内の壁は酸性によってコンクリートが激しく腐食されていて玉石のようになり、年期の入った風情であった。ここの温泉と浜の景色が素晴らしく住み付いてしまう人がいるそうで、今回もひとり北海道からきて住んでしまった人がいた。
3湯向温泉 透明白湯の花浮遊、塩味+弱い酸味、硫黄臭あり
玄関前にコンクリートパイプの源泉あり。
一般的共同湯の外観である。含硫黄食塩泉の温泉であるが硫黄分は寝待より少なく白濁していない、しかしとき卵状の湯の花が浮遊している程度である。ここもかつての萱葺きの上屋の写真をみると素晴らしい風情で、離島に来たことの感激が高かったと思われるが、今や瀟洒な木造の共同湯である。それでも華美なところはなく良い物である。入口前にコンクリートパイプの源泉があり、覗くと湯が湧出しているのが見える。感触的には清澄な食塩泉の部類であろう。湯の花はそれほど多く無い。露天風呂は使われておらず、赤褐色の水が溜まっていた。ここで島に取り残された温泉巡りの人がいて一緒に漁船で帰ることとなった。明日は更に波が高いので名残惜しいがすぐ帰る計画である。
西の湯に行ってから帰ることになっている。