2001年9月16日夜から18日まで、台湾を襲った「納莉台風」(台風16号、国際名:NARI、中国語名:納莉)。この納莉台風、迷走して行ったり戻ったり。「納莉台風在{ロ那}裡?(納莉台風はどこ?:発音”ナァリィタイフォン ザイナァリィ)」と発音が似ているから掛詞にして皮肉っていた時は、まさか被害がこのように大きくなるとは予想していなかったようです。
台湾・中央災害應變中央の発表によると、今回の納莉台風による台湾全土の被害は、死亡36名・行方不明6名・負傷94名でした(9月17日付『中央社』)。
特に台北市 、中和市、永和市、基隆市、汐止、八堵、瑞芳など台北縣の受けた害は相当なものでした。毎年一度は台風に見舞われる台湾北部ですが、今回は予想以上にひどい被害でした。
直撃を受けた台北市内は3日ほど大雨が続いた影響で、南京東路4段から5段方面、南港、中山北路から松江路の間などが浸水し、停電や断水も重なって街が混乱しました。予想を上回る雨量のため、公設のポンプ施設もまったく機能せず。よって、浸水が長引いてしまったのです。
地下駐車場も浸水
捷運(MRT)は、台北駅、芝山駅、昆陽駅などが浸水、ポンプでくみ出しても追いつかない状況です。北投温泉でも浸水により死者が出たり、陽明山などで土砂崩れが起きています。
首都である台北でこのようなひどい浸水・冠水は、実に10数年ぶりとのこと。
25日には、台北縣政府が納莉台風による死亡者の慰霊祭を行い、葬式代金も一部負担するという発表もありました。高雄市でも市民に土嚢を配布しています。行政がすぐに動くのですが、対策が後手に回っているという批判もあるようです。
占い横町:民権東路と松江路交差点の
地下道もこの通り。占いブースもしばらく休業
さて、浸水ですが、地下から地上1階に被害を及ぼし、家財道具や室内をダメにしました。また、メーカーは在庫品が被害に遭ったり、企業は書類やコンピュータが水に浸かったり。衛生状態も良いとは言えず、しかし掃除しようにも停電していて何もできない。学校や会社も休みになったため、マクドナルドや映画館、インターネットカフェ、デパートが大盛況。被害がなかったり少なかった人々が出かけたそうです。(9月24日から正常に学校が始まっています)
使い物にならなくなった家財道具が道にあふれ、
それらを撤去する重機が。異様な光景