台湾には、台湾人(ホーローラン)や先住民、漢民族の他に、客家人が住んでいます。※1 客家は、台湾の新竹縣を中心に居住しており、忍耐強くて勤勉な一部族。商売や学業で成功を納めることが多いと言われています。独自の文化や言語を今でも持っている客家人たちの飲み物の一つ「擂茶(レイチャ)」が、今回ご紹介する新しいお茶の飲み方です。
※1 台湾を形成する人々は、台湾人(ホーローラン)、先住民9族、客家人、漢民族にわけられる。今回は、その一部族の客家人の話題。客家人は、中国大陸の広東省東部、福健省などの境界地に分布、台湾に移住していきた。客家の人たちが、その昔農作業に勤しんでいた時代、簡単に栄養を補えるようにと考えたのが「擂茶」です。また、お客さんが来たら擂茶でもてなすのが、客家の伝統でした。このもてなしの風習は、現在でもお年寄りの間に残っています。
漢方薬や五穀、豆類をすり鉢とすりこぎで擂って粉末にして、その粉末に烏龍茶や包種茶(青茶:発酵が低く、日本の緑茶に似ている)を注いで飲むのです。つまり、擂るお茶が「擂茶(リンク先:中国茶で一服>お茶の来た道>製茶・喫茶の発祥>擂茶)」というわけです。
現在、台北市内で擂茶の専門店は2軒あり、いずれも自分ですり鉢とすりこぎを使って擂るスタイル。自分で作業するということが、DIY(組み立て)好きな台湾人にマッチし、擂る行為とヘルシー感覚が日本人や外国人に受けています。
自分でゴオリゴオリ。
すり鉢が出てくると、そこに黒ごま、ピーナツ、緑茶の葉が入っているので、これを自分ですりつぶします。粉状になったら、あらかじめお店の人が擂っておいてくれた、漢方薬や五穀、豆類など合計20数種類が入った粉を足し、湯呑み茶わんに入れてお茶を注ぎます。この時、煎った餅米を入れてさらに香ばしく仕上げます。
20数種類の中身、漢方薬は、蓮の実やはと麦、銀杏、ハマビシの実など。五穀は、米・麦・粟・黍・稗。これらに大豆、緑豆、黒豆、小豆などをブレンドして粉にしているそうで、配合は店や家によって異なります。
お茶の代わりに牛乳を注げばちょっとした食事に。また、食物繊維たっぷりだから、便秘気味の時にも効果が期待できそうです。栄養補給や滋養にもってこいの擂茶、時間を惜しんで働いたり勉強に励んだ客家人の知恵が詰まっています。忙しく過ごしがちな現代、ゆったりと時間を過ごすための飲み物として、昔の知恵が再び脚光を浴びているとも言えます。
できあがり。なんとも香ばしい。
<擂茶を飲める店 台北市および新竹>
・晉江茶堂 (ジンジアンチャタン) 台北市晉江街1號 電話02-8369-1785 営業時間 10:00~22:30 (週休2日の週の日曜日) 擂茶の他に客家料理があり、定食でも単品でも注文できて、人気がある。 (リンク先:中国茶で一服>余香回味>其の百六 客家擂茶を楽しむ>晉江茶堂) ・麻布樹排 (上記の本店) (マァブゥシュゥパイ) 新竹縣北{土甫}郷水{石祭}村二鄰麻布樹排19-20號 電話 03-580-3181 本店には冰棒(擂茶の棒アイス:NT$20)や膨風冰棒(東方美人茶の棒アス:NT$10)、冰擂茶(冷たい擂茶:NT$50)などがある。 ・擂茶茶餐 (レイチャ チャツァン) 台北市市民大道四段82號 電話02-8771-6797 11:30~23:00 (日曜休み:全日曜が休みとは限らないとのこと) 擂茶の粉にミルクやクリームを加えて凍らせたフローズン擂茶(擂茶雪泥NT$150)や、自家栽培の赤紫蘇に山芋やフルーツ酢を加えたシェイク(恋情雪泥NT$150)は、客家人の食の知恵を邱さんがアレンジしたもの。 ・喫茶趣 (cha FOR TEA)(チチャチュィ) 台北市復興北路152號 電話:02-2719-9900 11:00~23:30 無休 茶藝館をカジュアルにした喫茶店。ここにも擂茶がある。