2.【カレイの甘酢あん】
庄内浜の春の魚の代表格口細カレイ(本名マガレイ・漁期は3~6月と9~10月)は、おちょぼ口で色白で、まさに庄内おばこのようです。 同じ種類の鰈でも、北海道産になると黄色みをおびてるのだそうです。 「左ヒラメ、右カレイ」と云われるように、鰈は両目が右側に寄ってるのですが、はて、さて、いったい どっちが表なのか裏なのか、下なのか上なのか、よくわからない人が多いのではないでしょうか。 【これがカレイ】 黒い方を上にする。 腹を手前におく。 目が右に来る。 これがカレイ! これで平目か鰈かの区別はつきました。が、しかし、目の前のカレイが口細かどうかの判別となると、いささか難しくなります。なにせ鰈は、庄内浜だけでも30種以上も見られるのですから。 魚屋さん(或はスーパーのパックの印刷文字)を信じるしかありません。 でもって、魚屋さんの「口細だよー!旨いよっ!」という 一声でもあれば、それはもう口細以外の何物でもないのですが、パックの字だけでは、かなり不安です。「口細」と名づけるだけで、価格が数倍跳ね上がるのですから、 中には「嘘ばっかり!」な表示もあるわけです。 ところがです。食べたらもう、一目ならぬ一口瞭然!魚肉の味が全く違います。この辺の言葉で「こんみり」という、美味しさを表現する形容詞があるのですが、 まさしく「こんみり、おいしい~」のです。 骨をなめても美味しいと言われる口細カレイです。目は騙せても、舌は騙せないのです。 《焼きたての身をほぐして、お醤油を多めにかけて、混ぜて、炊き立てごはんの上に乗せて・・・・っもう、たまらない!!》 昔はお年寄りが、ぐずって中々寝ない孫をおんぶして、歌ってきかせてるものでした。「早く寝ないと、トトまんま食せぬ、ねんころよ~♪」 ●カレイの裏表! 太平洋側と日本海側とでは違う? 以前調理場で、地元の調理人と、仙台は塩釜出身の調理人とがもめてた事がありました。 ハラワタを取り出すのに、鰈のどっち側に隠し包丁を入れるかで、 “鰈の表はどっちだ!論争”が、勃発したのでした。 《庄内の漁師や魚屋に聞けば、白い方を表だと言うに決まってる。魚屋のザルの上でも、スーパーのパック詰めでも、鰈はいつも白いほうを上にして並んでるもの》 ところが、「仙台では黒いほうが表なんだ!」と塩釜人は主張するのです。 対して、「黒い方を上にして出したら、客に笑われる!」庄内人も一歩も譲りません。 当然、多数決で白が勝ちなのですが、塩釜人は釈然としない様子。でも、しようがありません。ここは庄内、郷に入れば郷に従え、ですから。 料理本等では、煮魚、から揚げなどは、黒い方を上にして盛りつけてる場合が多いようです。 姿造りも黒いほうが上でないとちょっとカッコがつかないですね。 でも、姿焼き鰈の写真は、見つけることができませんでした。皆さんの地域ではどうでしょうか。 ----鰈の表はどっち?! (注) 庄内おばこ=庄内地方の若い女性 トトまんま=焼き魚をほぐして混ぜたごはん 口細カレイは焼いて食べるのが一番なのですが、今日は、から揚げにして甘酢あんをかけてみました。 レシピは次のページです。盛り付けは太平洋バージョン!
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【さくらんぼ狩り】
【庄内浜の岩ガキ】
◆次のページでは、鰈の甘酢あんかけを作ります。