小動物/ペットから感染する病気

日本のペットはホントに安全なの? 小動物にも狂犬病感染の恐怖

日本での発症例がここ半世紀無いから狂犬病の心配はいらない。そんな間違った解釈をしてはいけません。空前のペットブームと言われる今、狂犬病の恐怖は日本をも脅かしています!

執筆者:村田 亜衣

先日、海外より驚くニュースがやってきました。狂犬病に感染したハムスターに噛まれるという事故(?)のニュースです。ぺットとして多く飼われているハムスター、それだけに衝撃は大きいものでした。

狂犬病

名前こそ狂「犬」病ですが、他の哺乳類や鳥類にも感染する怖い病気、それが狂犬病です。感染している動物に噛まれることで感染することが一番多いのですが、感染すると数日~数年の潜伏期間の後、神経にきて錯乱状態のようになってしまう伝染病で、発病後の治療薬がないため死亡率が100%と言われています。

視覚的に狂犬病の怖さを感じたい人は「クージョ」という昔の映画のビデオを借りて見て下さい。小説ならば古本屋さんにあると思いますので、安く入手できるかもしれません。この作品をこんなところで私が薦める理由、それは主人公である犬のクージョの状態が狂犬病の怖さを理解するのに最適だと思うからです。

神経をやられてしまう病気ゆえ、本人の意思とは関係なく凶暴になってしまうことが、この作品と見る・読むとわかると思います。(ホラー映画・小説ですので、怖く描かれている部分もあります)

日本は島国なおかげで、1950年代の犬における発病を最後に狂犬病の発症例はありません。しかし、これは動物のこと。

人間においては、この後も外国で狂犬病に感染した動物に噛まれ、帰国後に発病した症例があります。参照:記事「狂犬病に感染しない方法

外国では多い伝染病

日本と違い、外国では狂犬病は無くなっていません。それどころか毎年何万人も死んでいる恐ろしい病気です。

潜伏期間中にワクチン接種することで発病を防ぐことはできるのですが、これといった目立った症状も無いままに潜伏期間が過ぎていくために気がつけなかったり、ワクチンの価格が理由で接種することができないこともあるようです。

近年、いろいろな国に旅行する人が増えたこともあり、外国で感染して日本に持ち帰って来る可能性は増えています。
日本には安全な愛想のいい野良・野生動物もおりますが、狂犬病の発症が確認されている国においてはどんなに愛想が良くっても感染している可能性があるのでむやみに触ろうとしてはいけません。噛まれることのないようにする注意が必要です。

珍しモノ好き

狂犬病に関して一番困った原因ではないかと思うもの、それは昨今のペットブームです。日本には珍しい動物、まだ知られていないペットを輸入しようと頑張るペット業者が多いようで、ペット用に繁殖されている動物だけでなく、野生動物を捕獲・輸入することも少なくありません。

日本ではペットに関しても入国時に検疫を行っています。しかし、犬や猫、キツネなど限られた種類のみ。ペットの種類が増えるに従い、検疫を受けずに入国できる野生動物も増えてしまっているんです。その結果、ペットを通して狂犬病を日本に持ち込む可能性をかなりあげてしまっています。

売れるのであればそれを置くのがお店だということは理解しています。しかし、やたらと珍しさのみで輸入するのではなく、ズーノーシス(人獣共通感染症)を理解して、しっかりと検疫や予防接種、健康診断等を行うようにして欲しいと思います。そうすれば、伝染病を持ち込む可能性は減らせることでしょう。

ペットが感染源となるズーノーシスでは、ペットが悪者にされてしまうことが多いです。言うまでも無く、ペットは望んで病気に感染したわけではありません。人間にうつそうと思ってうつしたわけでもありません。
それなのに、感染源だったために悪者扱いされてしまうことが多いんです。

飼い主はペットを悪者にはしたくありません。業者の方たちだって、商売にひびきますから悪者にはしたくないと思います。売るまでにお金がかかってしまうことになりますが、どうかペットが悪者にならないように、ペットが伝染病を持ち込んだり、感染源となって病気を広めたりすることの無いように対策をとって下さいませ。

もうひとつ、ペットに関わる懸念事項があります。それは狂犬病の予防接種を行わない飼い主がいることです。

Page2: 小動物と狂犬病
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