爬虫類・両生類/両生類・爬虫類の病気・健康管理

ツボカビ症対策・中編(検疫と消毒)(2ページ目)

2部に分けようと思っていたカエルのツボカビ症への対策記事ですが、やはり3部に分けさせていただきました。第2部は、専門用語が多くて理解しにくいけどとても大切な「検疫」と「消毒」です!

執筆者:星野 一三雄

消毒

検疫期間中の器具や飼育者の手、あるいは飼育中のカエルにツボカビ症が発生してしまった場合の自分の飼育施設はマメに消毒を行う必要が出てきます。

さまざまなサイトで、紹介されているのをまとめると以下のような感じです。

1.消毒の対象は「飼育者の手や指」「飼育器具」
2.消毒薬は「塩化ベンザルコニウム」「塩素系消毒薬」
3.消毒方法は「消毒液に一定時間浸す」

消毒薬

消毒に使う、消毒薬はなかなか化合物名や薬品名で言われてもピンと来ないでしょうから、ここでは二つに絞って紹介しましょう。

・塩化ベンザルコニウム
「逆性セッケン」と呼ばれる物質の一種です。
簡単に説明すると、普通のセッケンは、水に溶けると「陰イオン(マイナスに帯電。『マイナスイオン』に非ず)」になって洗浄力を発揮します。

「逆性セッケン」は、水に溶かすと「陽イオン(プラスに帯電)」になるため、通常のセッケンに対して「逆性」と呼ばれる物質です。洗浄力は弱いのですが、生命体であるタンパク質や菌類の細胞壁の構成成分であるセルロースに対して強く作用するため「殺菌効果」を持っています。ちなみに洗髪用の「リンス」も逆性セッケンの一種ですが、強い殺菌力はありません。

塩化ベンザルコニウムは殺菌力が強い逆性セッケンとして知られており、これをエタノール(アルコール)に溶かした溶液は、エタノール自身が持つ殺菌力もプラスされて消毒薬として広く利用されています。

薬品名「オスバンS」として一般でも購入可能で、大きい薬局やネット上でも販売されています。ぱっと調べてみた感じで600ml前後で800円くらいのようです。

・塩素系消毒薬
次亜塩素酸ナトリウムが主成分となっている漂白剤です。
次亜塩素酸ナトリウムは、水道水の消毒にも使われています。いわゆる水道水の「カルキ」とはこの物質のことです。
酸化力が強いため、色素を分解する漂白作用があり、衣類等の漂白剤として利用されますが、その酸化力によって菌類を殺菌することもできるため消毒に使われています。

家庭用の塩素系漂白剤は、ほとんどこの物質を使っています。
(商品例:花王キッチンハイター)

ただし、酸性の物質と反応すると、非常に有毒な塩素ガスを発生します。トイレ用の酸性洗剤と混ぜて使い塩素ガスが発生し痛ましい事故も起こっていますから十分注意が必要です。

消毒の方法

基本的には、その商品(薬品)の「使用方法」と「使用上の注意」をよく読んで、お使い下さい。

・手や指の消毒
市販の塩化ベンザルコニウム溶液を「薄めて」使います。
市販品は10w/v%の濃度、つまり100ml中に10gが溶け込んでいる溶液になっています。
手や指の消毒には0.05-0.1%程度の濃度にして使用しますので、おおむね100-200倍に薄めることになります。
キャップ1杯が5mlですので、キャップ1杯を水1リットルに加えてかき混ぜれば(1000+5)/5倍、つまり約200倍です。キャップ2杯を水1リットルに加えれば約100倍になります。
  • 200倍の作り方・・・原液キャップ1杯を水1リットルに入れる
  • 100倍の作り方・・・原液キャップ2杯を水1リットルに入れる


消毒は以下の手順で行うのが理想的です。
1.指輪などのアクセサリーを外す
2.普通のセッケンでよく洗う・・・汚れが残っていると消毒力が低下します
3.温水でよくセッケンを洗い流す・・・普通のセッケンと逆性セッケンが混じると消毒力が低下します
4.上の手順で薄めた消毒液に手を浸す・・・消毒液の中で指一本一本や指と指の間などを洗うようにします


・飼育器具の消毒
飼育器具は「塩化ベンザルコニウム」または「塩素系漂白剤」を使います。
塩化ベンザルコニウムの場合は200-500倍(原液キャップ1杯を水2リットルに溶かすと400倍)に薄めて使います。

塩素系漂白剤の場合は、金属に対する腐食や漂白作用があるため、モノによっては使えませんので注意して下さい。
使用するときは200ppm(水5リットルに50mlの原液を溶かすらしい)に薄めます。

消毒は、塩化ベンザルコニウムの場合はバケツなどの大きな容器に消毒液を張って、その中に消毒対象の器具等を入れ5分間浸します。
塩素系漂白剤の場合は15分間浸します。

浸し終わったら、よく水洗いを行います。

以上、検疫と消毒方法について説明をしてみました。
最初にも書いたように、今回は一般の方に、少しでも実践をしやすいようになるべく簡単な方法をまとめて紹介したつもりです。
できれば、以下のリンク先などをご利用し、自分で確かめて実践してみて下さることをお願いします。

次回は「屋外にツボカビを出さないために」をテーマに解説します。

<関連サイト>
WWFジャパン
ツボカビ症に関する解説書(PDFファイル) from 麻布大学
ツボカビに関するQ&A from 麻布大学
カエルのツボカビ検査の受け方 from 麻布大学

<関連記事>
緊急記事・カエルツボカビ症
ツボカビ症の対策1・診断と治療
ツボカビ症の対策3・日本のカエルを守るために

<関連INDEX>
病気・健康管理(動物病院検索)
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