ベニマワリセタカガメ [爬虫類・両生類] All About

ベニマワリセタカガメ

学　名：Pangshura tentoria circumdata別　名：－英　名：Circled Indian Tent Turtle分　布：インド東部（ガンジス川中上流域甲　長：最大26.5cm

背甲の第3椎甲板がとがって伸長することから「背高」と呼ばれるアジアの人気種・セタカガメの一種・テントセタカガメの亜種です。テントセタカガメは一般的にはセタカガメKachuga属とされていますが、近年の研究では従来のKachuga属をセタカガメKachuga属とコガタセタカガメPangshura属に分け、本亜種を含むテントセタカガメはPangshura属にした方が良いんじゃなかろうか、という考え方もあり、私も納得できたのでそうしました。テントセタカガメPangshura tentoriaはインド東部とバングラデシュに分布しており、以下の3亜種に分けられています。

ホオアカセタカガメP. t. tentoria
ベニマワリセタカガメP. t. circumdata
キバラセタカガメP. t. flaviventer

本亜種は、和名からもわかるように背甲の肋甲板と縁甲板の継ぎ目の部分が赤くなっていることが特徴です。また腹甲の各甲板に一つずつの大型の黒斑があることも特徴です。首のところには比較的明瞭な縦条が数本入り、頬部にも赤から橙色の斑紋があります。

野外での生活史には不明な点も多いのですが、現地ではやや流水を好み、止水域よりも河川で多く見られるようです。水生傾向が強いのですが、日光浴も好み河川の土手などで日光浴を行う姿が観察されます。雑食性ですが成長とともに植物食性が強くなります。

成熟した雌雄では、雌の方が大きく成長し雄は小型で成長が止まるようです。10月から翌1月にかけて産卵しますが、冬が明けた3月にならないと卵の発生は進みません。1回の産卵数は3－12個で、大きさは5cm×3cm程度です。別亜種であるキバラセタカガメでは24－33℃で95日で孵化に至った記録があります。

他のセタカガメと比較して、流通量も多く飼育下でも丈夫ですが、写真の個体のように背甲や腹甲、皮膚が弱く壊死したりすることもありますので、清潔な環境で飼育を行うことを心がけなければいけません。まさに「とんがり帽子」のような形態で、さらに鮮やかな赤い色の彩りが美しく魅力的なカメです。成長すると、背のとんがりもなくなってしまい地味なカメになってしまいますが、またかわいらしい幼体の姿を見たいがために繁殖を目指す、というのも私たち趣味人にとってはモチベーションになるでしょう。いつ輸入が止まってしまって姿を見ることができなくなってもおかしくないアジアの淡水ガメですから、飼育はあくまでも繁殖を目指したいものです。

CITES（ワシントン条約）の付属書II類掲載種いわゆる水生ガメの飼育法ポイントは

比較的高温で飼育する

泳げるレベルの水場を作る

水質は弱酸性にする

陸地として流木を使用すると酸性に傾けることができる

攻撃性が強いので他種との同居飼育は避ける

など

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撮影協力：Herptile Lovers(於：九州レプタイルフェスタ)
飼育の基本情報
飼育の基本情報
飼育容器	水生傾向と遊泳力が強いので60cmクラス以上の水槽など。
温度	25℃～29℃に保温。冬眠をしないため冬も保温する
照明	紫外線入りのバスキングランプが必要
ろ過	強力な外部式フィルターと上部フィルター
床材（底砂）	特に必要なし
容器内レイアウト	泳ぎ回れるくらいの豊富な水量を維持するために水深は背甲の高さの3倍程度以上。日光浴用の陸地も必要。
餌	雑食だが成体は植物食性が強い。
基本的な世話
※情報は「クリーパー No.27（クリーパー社）」「爬虫・両生類ビジュアルガイド水棲ガメ２（誠文堂新光社）」を参考にしました。