ワニガメ [爬虫類・両生類] All About

ワニガメ

学　名：Macroclemys temminckii別　名：アリゲータースナッパー英　名：Alligator Snapping Turtle分　布：アメリカ合衆国南部のメキシコ湾岸沿い（フロリダ州からテキサス州、イリノイ州南部）甲　長：70cm程度　最大80cmとも言われる

北米最大の淡水カメであり、そして日本でもっとも不遇なカメの一つに数えられるカメでもあります。

背甲の甲板一つ一つが大きく盛り上がり反り返るように頂点がとがった特徴的な形状をしています。また普通のカメと異なり上縁甲板という甲板があり、それもまた頂点がとがっているため、さらにトゲトゲゴツゴツした甲羅に見えます。頭部は大きく、上あごの先端が大きく下に曲がった鈎状になっています。また尾も長く上部に大型の突起状鱗が発達しているため、本種をモデルとしたとされる映画「ガメラ」以上に怪獣チックな外観になっています。通常、皮膚は暗褐色で、ボロ布状の突起が多いのですが、「ピンクワニガメ」と言われる写真の個体のように明色の個体なども、多く見かけられます。

分布域では、汽水域まで含めた大きくて水深が比較的深い河川や湖沼に生息して水底で生活しています。水底で歩き回ることはあるようですが、泳ぎ回ることは少ないようです。水底で腐肉などを食う事が多いスカベンジャー的な食性の他のカミツキガメ類と異なり、待ち伏せて餌を捕らえる生活をしています。その際に、大きく口を開けて細い舌に血流を増やして赤くしてちろちろ動かすことによりミミズなどに似せて魚などをおびき寄せるルアーリング行動が有名です。

春に繁殖期を迎え、交尾後二ヶ月ほどで産卵をします。産卵は水際から50mほど離れた場所に穴を掘って行われ、3.5cmほどの卵を8－52個を産みます。卵は100－140日程度で孵化することが知られています。

以前は、カミツキガメとともに小さな個体が大量に輸入され、大変安価で販売されていました。そういう意味では日本でも馴染みの深かったカメといえます。私のように魚からこの世界に入った人間で、ワニガメに憧れを持たなかった人はいないでしょう。その個性的な外観は迫力があり、怪獣好きにはたまりません。

こんなに魅力的なカメですが、残念ながら日本の自然の中の、彼らが見つかるべきではない場所で多く発見され「凶暴で危険なカメが発見された」という報道が、今も絶えません。もちろん、これだけ大きくて鋭い嘴を持っているのですから、取扱法を誤れば大けがにつながることはもちろんで、安易で無責任な飼育は厳に慎むべきです。しかし寿命も非常に長く、人生をかけて一生を共に歩むこともできる、とても魅力的な生き物です。原産国であるアメリカ国内でもCITES附属書III類に掲載され、保護の対象になるほど野生の個体は激減しているようです。日本に来てくれた多くの彼らを、これ以上かわいそうな目に遭わせないようにしましょう。

動物愛護法による「特定（危険）動物」に指定されており、飼育に際しては都道府県知事の許可が必要です。いわゆる水生ガメの飼育法ポイントは

咬みつかれないように注意して扱う

とにかく脱走させない。もちろん捨てない

など

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撮影協力：ヴァンパイア(於：九州レプタイルフェスタ)
飼育の基本情報
飼育容器	最終的には120cm以上クラスの水槽や池などが理想。特定動物に指定されているので、施行規則に則った飼育施設が必要です。
温度	成体で室内ならば無加温で良い。幼体は25℃程度に保温する。
照明	紫外線入りの蛍光灯程度
ろ過	水中フィルターなどを補助的に使う。
床材（底砂）	特に必要なし
容器内レイアウト	背甲の高さの二倍程度の水深にする。シェルター類および陸場は特に必要ない
餌	生きた魚やザリガニなど。幼体ならば配合飼料に餌付くこともある。
基本的な世話
※「飼育の基本情報」は「爬虫・両生類ビジュアルガイド水棲ガメ２（誠文堂新光社）」を参考にしました。