動物取扱責任者
さらに今回の改正により、動物取扱業として登録をした事業所には「動物取扱責任者」を必ず置くことが義務づけられました。事業所とありますが、個人ブリーダーが登録をした場合には、本人が「動物取扱責任者」にもなる必要があるわけです。また動物取扱責任者には、1つの義務があります。それは「動物取扱責任者研修」を受けることです。言い換えれば「動物取扱責任者」というのは「動物取扱責任者研修」を受けて修了することによって手に入れることができる「資格」みたいなものです。
これは東京都や名古屋市など、すでに条例で動物取扱業が登録制になっている地方自治体では「動物取扱責任者講習」などの名称で定期的に開催されています。
こちらのページ(ミニーの部屋より)に過去の動物取扱責任者講習に参加したレポートがありますので参考にして下さい。
どうやら、これが一日仕事であるため、私のような本業を持っている者にはなかなか辛いモノがありそうな感じなんであります...
登録まで
登録の方法も頭に入れておきましょう。改正法の施行期日である平成18年6月1日から、地元の保健所で登録業務を行うことになります。また、施行から1年間は「登録の猶予期間」ですから、平成19年6月1日までの間に登録をすることになります。
登録の申請自体は申請書に記入するだけですが、捺印のための印鑑と登録料が必要になります。また申請書の中に「飼養施設」の「所在地」と「構造」の記入欄がありますので、所在地の地図と構造の平面図が必要になると思います。これらの書式や作成例は、以前のガイド記事「はじめての外来生物法・Part14 飼育許可をゲット!!」にありますので参考になると思います。
さて、問題はここからです。これは保健所の方に聞いたのですが、どうやら6月1日以降に「登録」をする場合には、ある程度の基準が設けられるようなのです。つまり
- 動物関係の学校で専門の教育を受けている
- 動物のプロの資格(愛玩動物飼養管理士など)を持っている
- 届け出済み業者のもとで6ヶ月以上の実務経験がある
- 改正前の法律による動物取扱業としての届け出をしている
などが基準になるようです。
ですから、上の1~4のどれにも当てはまらない方は登録を考えているのならば、最低でも4.つまり現在の段階で「動物取扱業」の「届け出」をしておいた方が良いとのことです。
また「登録」と同時に、前述の「動物取扱責任者」の設置が義務づけられますので、それまでの間に「動物取扱責任者研修」を受講しておかなければなりません。現在、各自治体で「動物取扱責任者研修」の予定を立てている最中だそうですから、各保健所に問い合わせて予定を聞いておくことをおすすめします。
したがって、まとめると私のような飼育者でブリーダーズイベントに参加しようとする方、あるいはネットオークションで複数以上の個体を出品する方は
- 今のうちに保健所で「動物取扱業」の「届け出」をしておく
- 「動物取扱責任者研修」を受講して修了する
- 6月1日以降「動物取扱業」の「登録」を申請する
ということになります。
とにかく最寄りの保健所に相談してみて下さい。
なお、先述したように「動物取扱業」は両生類の取扱は対象になっていませんので、両生類の販売に関しては登録の必要はありません。
非現実的な施行規則
また登録制になることにより、さまざまな施行規則による責務が発生しました。この施行規則がやっかいなのです。後述しますが、明らかにイヌ・ネコの取扱業中心の内容ですので、正直、私たち個人の爬虫類飼育者にとってはキツイものがあります。細かくは施行規則および遵守すべき管理の方法の細目(ともにpdfファイル)を参考にしていただくとして、ここでは例を少し挙げてみましょう。
- 「ケージ等の内部を外部から見通すことのできる構造であること」(規則第3条2項7号ハ)
- ヘビを透明度の低い衣装ケースで飼育している人って多いのでは...?
- 「飼養施設の床等に確実に固定する等、衝撃による転倒を防止するための措置が講じられていること」(規則第3条2項7号ニ)
- 「プラケ山」ダメじゃん...
- 取り扱う動物の種類が変わった場合には登録の変更が必要(法14条1項)
- 新しい種類の繁殖に成功して、販売しようと思ったらいちいち届け出なくてはいけないのだろうか...(ただし「動物取扱業」の「届け出」では「ヘビ」と一括りにして問題なかったです)
- 動物取扱責任者研修は1年に1回以上受けなくてはいけない(規則10条3項1号)
- いや、これは厳しいでしょ。本業がある人間は絶対に。
- ケージ内は1日に1回以上掃除をする(細目4条1項3号)
- こんな頻繁に床材をひっくり返していたら、ヘビなんて飼えません。
と、まぁこんな具合なわけです。非現実的というか、爬虫類飼育には当てはめることができないことがたくさんありますが「規則」ですから守る義務があるのです。
ただし、法の目的の1つに「動物の適正な取扱」という言葉がありますので、あまり細かいことに拘らずに、いかにその動物に対して苦痛や不快感を与えずに飼育や展示をするか、というのを重視すれば良いのだと思います。
とにかく、これらのことを見ればわかるように立法サイドから見れば、ヘビやらヤモリやらの繁殖させた個体をみんなで持ち寄って展示即売するようなイベントが1年に2回、東京と大阪で行われているなんて想像もつかなかったということです。