未判定外来生物
このカテゴリーになるとどうなるのか?私を含めて、今イチ理解されていない方も多いようなので、簡単にわかりやすく解説しましょう。未判定外来生物は「特定外来生物と近縁種であり、帰化して被害を及ぼす恐れがあるか、ないかはわかっていないが、念のため国内に入る前に調べておく必要がある生物」という感じでイメージするとわかりやすいでしょう。
ですから、これに指定された種は輸入の申請がなされたならば、とりあえず輸入をストップされ6ヶ月以内に輸入してもいいのか、ダメなのかを環境省により決定されます。
この結果、問題なければ輸入が認められます。しかし輸入すべきでない、と判断された後は「特定外来生物」として指定されたことになり輸入は認められないのはもちろん飼育・繁殖・流通なども禁止されることになります。
例えばミナミオオガシラが「特定外来生物」に指定されています。これを受けてオオガシラBoiga属のヘビは全種「未判定外来生物」に指定されたとしましょう(現実に指定の方向です)。そうなるとBoigaの中で比較的人気の高いマングローブスネークの仲間を輸入するときに、とりあえず環境省に申請をします。「マングローブスネークを輸入したいのだが」と。
申請が受けてから6ヶ月間の間に環境省は審議をします。
その結果「問題なし」となれば、晴れてマングローブスネークを輸入し流通させたり、飼育をすることができるようになります(ただし、それ以前にナミヘビ科の有毒種なので危険動物として指定されているのが普通ですの飼育の許可は必要ですが)。
ところが、審議の結果「問題あり」となった場合は輸入を禁止させられるだけでなく、結果的に「マングローブスネークは『特定外来生物』である」ということになり、ミナミオオガシラと同様に、それから先は輸入・飼育・繁殖・移動・販売・譲渡・遺棄などがすべて禁止になり、その時点で飼育をしている個体は登録をする必要が出てきます。
つまり未判定外来生物は、いつでも特定外来生物になって規制の対象になりうる可能性を持っているわけです。
ただし未判定外来生物は「輸入実績がない」あるいは「ほとんど輸入実績がない」という前提で選定されます。ですので私たちが普段、目にするようなポピュラーな両爬は輸入実績がありますのでこのカテゴリーには入りません。ですのでこれからもコンスタントに輸入されることでしょう。
ところがこれは言い換えれば、輸入実績があっても、帰化の可能性があると考えられれば「未判定外来生物」を通り越して「特定外来生物」に指定される可能性を持っていることは忘れてはいけません。
今回の結果、未判定外来生物として候補にあがっているのは、特定外来生物に指定されている種類以外の
・アノールAnolis属全種(345種!?)
・オオガシラBoiga属全種(31種)
・在来亜種であるサキシマスジオを除くスジオナメラElaphe taeniuraの全亜種
・在来種を除くハブProtobothrops属全種
・在来種およびヨーロッパミドリヒキガエル・テキサスミドリヒキガエル・ナンブヒキガエル・ガルフコーストヒキガエルの4種を除くヒキガエルBuffo属全種(252種!?)
要注意外来生物リスト
新しいカテゴリーとして基本方針の中になかったのが「要注意外来生物リスト」です。これは、本来は特定外来生物として指定するべきであるが、すでに広く利用されたり、あるいは帰化による影響が十分にわかっていなかったりして特定外来生物と指定するのに不十分な種類のリストです。法的な拘束力はなく、何ら規制の対象にはならないのですが、今後は被害や影響が広がらないように、文字通り注意していかなくてはいけない種類たちです。
私の個人的な考えでは、これから先の、この法律の運用の仕方や効果、あるいは専門家の先生方の考え方によっては、これから先の特定外来生物の候補という気がします。まさに私たちにとっても要注意です。
候補にあがっているのは
1.特に注意を要する外来生物
・アカミミガメ(いわゆる"ミドリガメ"含む)
・ウシガエル
2.注意を要する外来生物
・ワニガメ
・チュウゴクスッポン
・グリーンイグアナ
・シロアゴガエル
・アフリカツメガエル
・未判定外来生物で除外されたヒキガエル属4種
です。
かなり私たちに「関係あり」です。