「飼いやすい」「CBが流通の中心」そして仮に「逃げられたり、捨てられたとしても大きな問題になりにくい」という条件を満たすのならばクサガメの子供「ぜにがめ(本来はニホンイシガメの子供を指す)」が「はじめての水棲ガメ」として適しています。(本当は売られているクサガメは「大陸産」であったりと帰化の問題はあるのですが)
ただクサガメは「大きく」なりますし、ちょっと「ありふれすぎている」という方もいらっしゃるでしょう。
そこで私がおすすめしたいのがスティンクポットタートルSternotherus odoratus(Kinosternon odoratum)です。
このカメは北米に広く分布しており、甲長も13センチあまりにしかならない小型のカメです。やや水棲傾向が強いために大きくなったら60センチ以上くらいの水槽が必要になり、ろ過の設備も必要になってきますが、それでも他のカメに比べたら小規模で飼育が楽しめます。また飼育下での繁殖も困難ではない、まさに「はじめての」に最適のカメと言えるのではないでしょうか。
さて、以下に私の8ヶ月足らずではありますが、飼育日記形式でその魅力をご紹介しましょう。
◇スティンクポットがやって来た!!
10月某日
かねてより「はじめての水棲ガメ」で紹介しようと目をつけていたスティンクポットをペポニで2匹注文。1匹2500円という値段も飼育初級者には安からず、高からずでちょうど良いかも。ただし気温が下がってきているので、輸送がちょっと心配。
数日後
ついにスティンクポット到着。仰天するような大きな発泡スチロールの箱でやってきた。衣装ケースよりも大きな箱を開けるとおなじみのデリカップが二つ。それぞれにお待ちかねのスティンクポットが...
「小せぇ~!」
これが第一印象。想像以上に小さい。今までにも何度か実物を見ていたのだが、自分で飼育するとなると心配なくらいの小ささ。
とりあえず取りだして見る。鼻先から放射状に4本の白いラインが目立ち、一様に黒褐色の体色のアクセントになっている。
たまたまその場にいた女生徒が
「かわいい~」
と嬌声をあげる。ふむ、女の子には受けるということは、これで確信を持った。
その翌日
昨日はとりあえず、30センチのプラケに2センチほどの水を張り、フィルムヒーターの上に置いて水温を22℃ほどに保つことを確認してカメを2匹とも収容した。さて今日は水槽内をレイアウトするか。しかし小さいうちは水質の悪化による皮膚病にかかりやすいらしく、こまめな水換えが必要かもしれない。ならば、レイアウトは簡素にして、手軽に水を換えることができるようにしよう。というわけで結局、水槽の中には陸地代わりの植木鉢の破片を入れただけでレイアウト終了。明日は餌を与えてみよう。
さらに翌日
さて、はじめての給餌。とにかく小さいので餌も小さくなくてはいけない。レプトミン一本を半分に折り、それをさらに半分にしても大きいかもしれない。それをカメの目の前に落とす。目の前に落ちた物体に興味を持つカメたち。こちらはじっと息をひそめる。
「ぱく」
おお~。食った。一匹が食うと、それにつられるようにもう一匹も食った。結局、この日は二匹でレプトミン一本を平らげた。なんて安上がりな奴ら...
給餌翌日
はじめての給餌の翌日、水槽内に糞を発見。はじめての水替えだ。カメを取り出すが四肢と頭を引っ込めたまま動かない。念のためデリカップの中に入れて、水槽の中の水を捨て、水道水ですすぎ新たに水を張った。この間わずか3分。水槽も小さいので水替えも楽だ。これなら毎日の水替えも可能だ。