全国の両爬ファンのみなさま。コンニチハ!
私の所にもたくさんのヘビがいるのですが「ヘビが餌を食ったら飼育は成功」と言われるほどに、ヘビに餌を食べさせる、と言うのは神経を使うことである場合があります。
そんなヘビ飼育の飼育技術のひとつが「強制給餌」です。
今回はヘビを中心に、強制給餌に関してその技術と必要性について見てみましょう。
▼こんな時に強制給餌
強制給餌には賛否両論があります。
「やるよりは、やらない方が良い。しかし、やった方が良い『場合』もある。そんなときのためにできるようになっておいた方が良い。」
という性質の技術、知識であると思います。
では「強制給餌をやった方が良い『場合』」とはどんな場合でしょう。
1.孵化したての幼ヘビに餌付ける場合
「WCで餌付かないヘビもCBなら餌付く」と言われますが、そうでない種類(個体)もいるようです。幼ヘビは「餌を食うことを知らない」と、そんな気にもなってしまうことがあります。実際に、強制給餌をきっかけに餌を食うようになった、という例も多く聞きます。また、幼ヘビは小さいので拒食による体力の疲弊も早いので、見極めが必要かもしれません。そういう意味では強制給餌は「最初の手段」とも言えるでしょう。
2.WCの立ち上げをはかる場合
様々な理由でWC個体を飼育すると、頑なに餌を食わない場合があります。特にアジア産のヘビのようにストック状態が悪いWC個体は強制給餌によってとりあえず体力を復活させることが有効です。もちろん、ある程度体力がありそうな場合は様々な工夫によって自力摂餌を試みます。
3.マウスに餌付ける場合
どんなヘビにでも、こちらの都合でマウスに餌付けることには私は反対の立場をとっています。しかし完全食品とも言われ、容易に入手ができるマウスに餌付けることは、確かに便利であり、入手困難な餌しか食わないヘビを飼育して餌不足で死なせてしまうことを考えれば(その前にそういうヘビを飼わなければいいのです)、ひとつの手ではあります。
4.とにかく餌を食わなくなってしまった場合
何が原因かさっぱり分からないが、今までばくばく餌を食っていた個体が餌を食わなくなってしまった、という例はヘビ飼育ではままあります。こういう個体が痩せ細って死んでしまう前に強制給餌をして、また餌を食いだした、という例も多く聞きます。
どんな場合にしても、とにかくその個体の種類や性格、性質などをよく理解することをつとめた上で強制給餌という方法を選ぶべきでしょう。繰り返すようですが、安易にとるべき方法ではないと思います。ただし、その技術をマスターしておくことは無駄なことではないと考えます。
▼その方法
強制給餌の手法は、なかなか口や文章で説明できません。以下のサイトが図もあり参考になるでしょう。
ラットスネークへの強制給餌(VENOMOUS Homepage)
さて、ヘビへの強制給餌のポイントをいくつか上げてみましょう。
1.与える餌は小さいものを
小さいほど、押し込みやすいのは当然です。頭よりも一回りくらい小さな餌を使いましょう。
2.ピンセットで餌の頭をしっかりと保定
ピンクマウスを与えるのですが、ピンクマウスは皮膚が弱いので、強制給餌をしているうちに皮が破れて、ひどい目に遭います。
3.口をこじ開けるのにテレホンカード
ヘビは自分からなかなか口を開けてくれません。テレホンカードをヘビの口に挟み、そのカードに沿って滑らせるように餌をのどに押し込むと楽になります。ただし、テレホンカードのエッジでヘビの口を傷つけないように注意が必要です。
4.思い切りも必要
強制給餌時に個体に与えるストレスはかなりのものです。ですから、こちらがもたもたして長時間苦しめてはいけません。素早く、慎重にのどに押し込んでいくべきです。力が中途半端だと、なかなか入っていきません。
その他に「マウスを横向きに入れた方が良い」とか「マウスの首が曲がらないように入れる」などの話も聞きます。