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猫の皮膚について……その特徴や役割は?

猫の皮膚の特徴や役割について、解説します。たくさんの毛に覆われた下の皮膚。猫の皮膚は柔らかく、非常に伸びやすい特徴を持っています。皮膚の状態で脱水症状を診ることもできます。猫を飼っている方、飼いたいと思っている方はぜひ参考にしてみて下さい。

岩田 麻美子

執筆者:岩田 麻美子

ネコガイド

猫の皮膚について・写真はスフィンクス

スフィンクスの皮膚

美しい模様を作り出している猫の毛、その毛の下の猫の皮膚はどんな特徴や役目を持っているのでしょう。
ほとんど無毛に近い猫・スフィンクスという猫をご覧になったことがありますか?
スフィンクスの身体はほぼ無毛ですが、鼻先や耳に少し毛があります。
スフィンクスの身体を触ると、猫の皮膚がどんな状態かよくわかります。
皮膚は非常によく伸びて、首やお腹に皮膚を集めるとシワシワになってしまいます。毛のない身体はしっとりとしていて、手に独特な感触が残ります。

さて…猫の皮膚の秘密とは???


<目次>  

猫の皮膚の特徴

猫は非常に薄い皮膚を持っています。

ヒトの表皮は10~15細胞層ですが、犬は3~5細胞層、猫は2~4細胞層しかありません。
猫の皮膚はヒトの1/5から1/6の薄さです。

そのため、非常に柔らかく、よく伸び弾力性に優れています。
皮膚が伸びることで喧嘩をしても、致命傷を受けにくくなっています。

皮膚にあるのはアポクリン腺なので、猫の身体は汗をかきません。動物病院に連れて行ったときなど、緊張した猫の足跡が診察台にペタペタと残った経験はありませんか?肉球にはエクリン腺があるので汗をかきます。

また、鼻も汗をかきます。暑かったり、ひどく緊張すると鼻がしらがじっとり濡れたり汗で塩をふいて白っぽくなります。
 

皮膚が伸びると困ったことも……

スフィンクスの子猫の頭部
スフィンクスの子猫の頭部

よく伸びる皮膚は、場合によっては困ったことにもなります。

引っ掻き傷や噛み傷で皮膚が傷ついても、余っている皮膚が集まってきてすぐに傷口をふさいでしまうので、表面的に見て傷が治っているように見えても、内部では化膿が進行している事があります。怪我をしたことがわかっている場合は、その後熱っぽくなったり、食事を取らなくなったり、身体を触られるのを嫌がったりしないか、観察を続けてください。突然ぱっくり裂けて膿が出てくることも!!!
※外出自由の猫がいつもと違う様子で帰宅したら、必ず身体検査を行ってあげてください。
 

皮膚がよく伸びますので、毛球を切ろうとして、毛だけを挟んでいるつもりが皮膚まで!ということがあります。ハサミを使うときは要注意です。
毛を引っ張らずに、毛球の根本にコーム(クシ)を差し込んで、その上だけを切る方法が安全です。切るしかない毛球ができた場合は、是非おためしください。

 

皮膚は脱水のバロメーター

美しいタビー模様のベンガル

美しいタビー模様のベンガル

猫の皮膚は脱水のバロメーターにもなります。猫が脱水症状を起こしている場合は、あまり皮膚が伸びません。 優しくつまむと皮膚が柔らかく伸びて、手を離すとスッと元に戻る状態が正常な弾力の皮膚です。引っ張った後の状態のまま戻りが悪いときは脱水が疑われます。
 

皮膚の厚さは不均一

猫の皮膚の厚さは身体全体で均一ではありません。首から背中にかけては少し厚めになっています。

特に、去勢していないオス猫は性成熟を迎えると徐々に皮膚が厚く丈夫になっていきます。病院でワクチンなどを打つときなど、獣医師はよく「オス猫の皮膚は硬い」という表現を使います。
※ちなみに、我が家にいるメインクーン種は他の猫よりも皮膚が厚いようです。

子猫のワクチン時に、獣医師から「皮膚が厚いね~」と云われることがよくあります。

鼻の先や足の裏の肉球は角質化していて、厚くなっています。角質層が厚いと、ケガが治りにくいので化膿などを起こしやすくなります。

足の裏を怪我した場合は、獣医師の診断を仰いでください。肉球の表面は硬めの角質で覆われていますが、中は弾力性がある繊維や脂肪に富んだ皮下組織で構成されています。そのクッションのおかげで猫は足音を立てずに歩いたり、高いところから飛び降りたりできるのです。
 

猫の皮膚の役目

白猫の地肌はほんのりピンク色
白猫の地肌はほんのりピンク色

猫の皮膚は二層に分かれています。
外側が表皮、その下側が真皮で、さらにその下には厚い皮下組織があります。
 

猫の皮膚の外側にある「表皮(角質層)」は、微生物の新入を防いだり、保湿の役目を行います。
表皮の下の真皮の脂腺から分泌される脂肪の膜(脂肪酸)は、皮膚を乾燥や、不必要に水分やミネラルが失われないよう保護しているのです。

真皮にはコラーゲン繊維があり、これは皮膚に張りを与えます。コラーゲン繊維があることで弾力性があり、外からの力に傷つきにくくなっています。

脂肪酸が毛の表面に分泌されることにより、毛艶が良くなり防水の役目も果たしますので、猫をあまり頻繁にシャンプーしてこの脂肪酸のバランスを崩さない方がよいでしょう。健康な猫の皮膚の代謝を考えると、猫のシャンプーは2~3週間以上空けて行いたいものです。
 

猫の皮膚は感覚器官

猫の皮膚は感覚器官でもあります。皮膚に密集した数百万の神経末端が体温管理を行います。無防備に寝ている猫の毛をさっと触ったら、毛がびくっと逆立ったことがありませんか?立毛筋と呼ばれる皮膚にある筋肉の反射神経が毛に連動することで、猫が無意識でも毛が逆立つのです。

また、猫は自分の意志で首の毛だけ、シッポの毛だけ、と毛を逆立てることができます。驚いたとき、威嚇の時、何かに集中して狙っているとき……猫はよく身体を丸めハリネズミのように毛を逆立てます。他にも、寒いときは少し毛を立てて保温するようです。

 

サマーカットする前
サマーカット後
上:サマーカットする前
下:サマーカット後、地肌にはタビー模様がくっきり

毛の模様は皮膚から

皮膚表面の脂肪の中に色素を作り出すメラニンがあり、それにより皮膚や被毛に色が付きます。

猫の皮膚の色は被毛の色に準じます。白い部分は薄いピンク色、赤い部分はベージュや明るい褐色、ごげ茶の部分は黒っぽい褐色、黒い部分は濃いグレー……など様々です。縞模様の猫は地肌にも縞模様があります。

しかしベンガルという種類の猫には、地肌にタビーがないそうです。
 

皮膚の色の変化

ひどい皮膚炎などを起こすと、皮膚は色素沈着し黒ずんで見えます。白い部分が多かったり、色の薄い猫は年と共に皮膚にシミができたりします。


頭部が白い猫は、日光に当たりすぎると日焼けを起こしてしまいます。特に毛の薄い耳の部分はひどくなりやすく、皮膚癌(扁平上皮癌)になってしまうこともあるので、注意してあげてください。
 

皮膚のケア

猫の皮膚のphは6.4で中性~弱酸性です。人はph4.8で弱酸性です。そのため、洗浄力が高い石けん(アルカリ性)などでシャンプーした後は、中和させるために必ず酸が必要です。また、お酢やレモン汁をリンス代わりにしても効果があります。シャンプー後、猫は必ずセルフグルーミングを行いますので、濯ぎはしつこいくらいしっかり行ってください。
 

犬の平均phは7.4で、中性~少しだけ弱アルカリ性です。よく「犬・猫用シャンプー」として販売されているものがありますが、できる限り、猫の皮膚を配慮して作られている猫専用のシャンプーを使う方が安全でしょう。


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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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